高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

河合塾2018マーク式総合問題集(黒本)_国語_第1回_第1問(評論)_解説

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、河合塾2018マーク式総合問題集(黒本)「国語」第1回第1問の解説です。

このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

文章の読み方_まとめ - 高校教員の徒然日記

マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記

 

この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます

ぜひ身につけてみてください。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。

ご自分で用意してください。

黒本は超有名なセンター対策問題集ですので書店やネットですぐに購入できると思います。

 

形式段落での説明がメインになります。今回はすでに1~14まで振られています。

 

では、始めます。


問1  

 

(ア)位相は知っておいて欲しい言葉です。

(ウ)契機は評論文頻出です。「きっかけ」という意味も重要です。

(エ)企図が難しかったかもしれません。漢字は簡単ですがこの言葉を知っている方は少なかったでしょう。ただ、文脈の意味と漢字の意味とを合わせて考えると選ぶことができたと思います。漢字は意味もしっかりと学習していくようにしましょう。

 

どの漢字も漢字検定の級としては低いものですが、評論文らしい難しい言葉が多くなっています。教科書や問題集で評論文を読むときに漢字も意識して読むことをオススメします。

また、漢字の学習は漢字検定2級を目安にすれば大学受験は大丈夫です。

 


問2 

 

ポイントは2つです。

 

 

①「言葉」についての説明という内容説明問題(イコール問題)である。
②形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。 


以上を踏まえて考えます。

 

傍線部は形式段落2のはじめにありますから、この後に説明がされるはずです

3行しかありませんが、その内容は「『科学技術』に対応する言葉は西欧語にはなく(中程)、”technoscience”という言葉も一般化していない(終わり)」ですね。

 

形式段落3が「もともと科学と技術は…」と始まっているのが目に入るでしょうから話はもう少し続きそうだと分かりますが(実際もう少し読むことで確実に正答を得られます)、ここまでの確認だけでも選択肢を絞れそうです。

 

では選択肢を見てみましょう。

選択肢は文末(後半)から見ます。この問題は、2つ以外は選択肢文末で間違いだと判断できます。

 

①「それらの概念を一語で表現する言葉はいまだ一般化していない」→オッケーです
②「『科学』と『技術』を結びつけた言葉は一般には用いられていない」→オッケーです
③「『科学』と『技術』を混同している」→確認した内容と違います
④「その思考が今日に至るまで力を保っている」→確認した内容と違います
⑤「近代日本において西洋の語彙を取り入れる際に誤解があった」→確認した内容と違います 

 

①と②だけが残りましたね。このように「形式段落のつくり」を意識するだけでも選択肢を絞ることができます。

 

選択肢の前半の内容を読むと今まで読んだ内容だけでは判断できなさそうですから続きを読みます。

 

先程も書いたように形式段落3は「もともと科学と技術は…」と始まっていますから内容を確認する必要がありそうです。

 

形式段落のつくりは「この話する→説明→まとめ」です

 

まずは「はじめ」が大事です。「科学と技術の出自は違う」です。説明もまとめも同じ内容です。

 

形式段落4のはじめは「さらに」で始まっています。これは「+」ですから、前の形式段落の内容に「さらに」何かが加わるということです。形式段落3は「科学技術」について書かれていたのですから、ここでも新たな説明がされるということですね。

 

「はじめ」と「おわり」に注目すると「科学技術は二十世紀に入ってから産業基盤を支えるものとして国家的事業として展開された」となるでしょう。

 

以上、形式段落2、3、4の内容を踏まえて選択肢を選びます(①と②だけにします)。

 

①完璧な内容ですね。
②先程確認したところ以外は本文に書かれていません。 

 


問3 

 

ポイントは3つです。

 

 

①「なぜか」という理由説明問題である。
②傍線部を含む一文に指示語がある。
③形式段落の中程の部分にある。
 →何の説明の部分かを「はじめ」を確認する。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

①「『価値中立的』ではありえない」理由が問われています。

 

②傍線部を含む一文に「その意味で」という指示語があるので、その内容を確認します。指示語の指す内容は基本的に直前です

「現代の科学技術は社会的リスクと表裏一体」という意味で「『価値中立的』ではありえない」となります。

 

では、これは何の説明をしているのでしょうか。

 

傍線部は形式段落の中程にあるのだから、何の説明かを「はじめ」を見ます

「科学技術の利用が意図しない災厄をもたらすこと」の説明だと分かりますね。これは先程の指示内容「社会的リスク」と同じです。

 

これが何故かを答えればいいわけです。

 

確認したはじめの部分には「それゆえ」という指示語があります。

「科学技術の利用が意図しない災厄をもたらす(という意味で『価値中立的』ではありえない)」の理由は「それゆえ」の指す内容ですね。

直前である形式段落6のおわりは「その影響や帰結を見通すことが困難になっているから」と理由になっています。何のまとめかを「はじめ」で確認すると「現代の先端的な科学技術については、そのような楽観的な善悪二分法は成り立たない」のまとめだと分かります。

つまり、「現代の先端的な科学技術については、その影響や帰結を見通すことが困難になっているからそのような楽観的な善悪二分法は成り立たない」ということです。

これが「それゆえ」の指す内容であり、問われている理由です。

 

以上の内容を踏まえて選択肢を見ます。
選択肢は文末(後半)から見ます。この問題は、正解以外はすべて選択肢文末で間違いだと判断できます。

 

①「善用することは非常に困難だから」→確認した内容と違います
②「何が善で何が悪かは一概に決めがたくなっているから」→確認した内容と違います
③「時代遅れの学説と言わざるをえないから」→確認した内容と違います
④「影響を正確に予測できない現代の先端技術に当てはまらないから」→確認した内容です
⑤「どのような価値に対しても距離を置いているとはもはや言えなくなっているから」→確認した内容と違います 

 


問4

 

ポイントは4つです。

 

 

①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
  →「自縄自縛」という四字熟語のニュアンスを含む説明になっているはずである。
②傍線部中に指示語がある。
③傍線部を含む一文を確認する。
④形式段落のおわりの部分にある。
 →この段落で説明がされていたはずである。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

①「自縄自縛」とは「自分の言動のせいで自由にできなくなること」です。「自らの縄で自らを縛る」という漢字からも想像できます。

 

②「その神話」とは直前にある「安全神話」のことなのは容易です。

 

③「傍線部Cによって、電力会社は安全対策を講じてこなかった」となっていますから①で確認した「自分、自ら」は「電力会社」のことです。また、「自縛」は「安全対策を講じなかった」ことだと分かります。

 

形式段落のはじめを見ます何について述べられた段落かというと安全神話には項目が付け加えられた」ことです。項目が付け加わった安全神話に自縄自縛になったのですね。

ただこの段落も「さらに」で始まっているので安全神話の説明が前に書かれていたことになります。形式段落9の中程に「原子力安全神話とは」と主語になっているので、ここを確認しましょう

 

以上の内容をまとめるとこうなるでしょう。

 

「電力会社は安全神話を浸透させたことで安全対策を講じなくなってしまった」

 

この内容を踏まえて選択肢を見ます。
選択肢は文末(後半)から見ます。

 

①「どんなに軽微な事故も決して生じない」→形式段落9の中程の「安全神話」の説明では「リスクがきわめて小さく」と「決して」ではない
②「社会全体が危機に対する感覚を鈍磨」→「社会全体」ではなく「電力会社」
③「リスク対策を怠ってしまう」→確認した内容と同じ
④「コストや安全性に関する議論が抑制」→コストは関係ない
⑤「危険性に次第にきづかなくなってしまう」→微妙だがダメとは言えない 

 

後半だけで③と⑤が残ります。

 

ここではじめて前半の内容も確認します。

 

③内容もオッケーですし「とらわれる」の表現から「自縄自縛」のニュアンスもあります
⑤「安全対策を行わない目的で、原子力発電の技術の危険性に関わる認識が抑圧された」→順が逆ですね。安全神話によって危険性の認識が抑圧されて(この表現も微妙ですが)安全対策が行われなかったという順でした 

 


問5

 

ポイントは2つです。

 

 

①傍線部はないが「問われていること」を確認する。
②①を参考に本文のどこを見ればいいかの検討をつける。
 →傍線部の問題になっていない意味段落が怪しい。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

①問われていることは「『信頼の危機』に対する筆者の考え」です。

2つのポイントがあります。「信頼の危機」について述べられている部分に注目することと、「筆者の考え」つまり「筆者の主張」なのですから本文のおわりにありそうだということです

 

②①で確認した2つのポイントで本文のどこに注目するかを考えます。

 

まず「信頼の危機」という言葉に注目します。この言葉が出てくるのは形式段落12のおわりです。そして、形式段落13のはじめに説明が繋がっていっています。この辺りに注目すればいいということが分かります。

この辺りには傍線部がなく「信頼」についての意味段落であることも分かります。やはりこの辺りに注目するのがよさそうです(言っていることがよく分からない方は「マーク式問題の解き方②一般的な問題構成を知る」をご覧ください)。

マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記

 

形式段落13のはじめで「信頼の危機」の話をすると教えてくれて、おわりに(引用の部分ですが)「政治と科学に対する二重の不信の広がりこそが、『信頼の危機』なのです」と「信頼の危機」とは何かを教えてくれています。

 

次にこの「信頼の危機」について筆者の主張がどこにあるかを考えます。

 

ここで文章の大きな流れを確認します。

形式段落のつくりはそのまま意味段落や文章のつくりでもあります。

「この話するよ→説明→まとめ」です。

 

筆者の主張の多くが「まとめ」に来ることは分かりますね。

だとすると、「信頼の危機」の説明が形式段落13でされたので、その後の形式段落14に筆者の主張がありそうです(ちなみに「信頼神話」の意味段落は形式段落11からはじまっています)。

形式段落14のはじめは「政治と科学に対する二重の不信」つまり「信頼の危機」の話です。中程の説明には「崩壊すべくして崩壊したが、崩壊するに任せてはおくわけにいかない」と筆者の考え(主張)が述べられています。そして、おわりにはその理由として「現代社会は科学技術の恩恵なしには持続できないもので、その基盤が政府と科学者に対する『信頼』だから」と述べています。

 

形式段落の14の筆者の主張をまとめると

現代社会は科学技術の恩恵なしには持続できないもので、その基盤が政府と科学者に対する『信頼』だから、信頼の危機の崩壊は崩壊するに任せてはおくわけにいかない」となるでしょう。

 

以上の内容を踏まえて選択肢を見ます。
選択肢は文末(後半)から見ます。この問題は、正解以外はすべて選択肢文末で間違いだと判断できます。

 

①「信頼が失われるのはやむをえない」→崩壊するに任せたらダメなんです
②「信頼関係を再構築する努力を社会全体で行っていく必要がある」→崩壊させないようにしようという内容になっています
③「一般市民が科学の成果を取捨選択できる成熟した目を養う」→確認した内容と違います
④「科学や政治の正しい方向性を見定めていく必要」→確認した内容と違います。方向性ではなく「信頼」が大切なのです
⑤「科学技術を切り離し、根本から見直す」→確認した内容と違います 

 


問6

 

構成についての選択肢は①②③です。

 

構成の問題は問5でも確認した大きな流れが参考になります。

今回は分かりやすいので確認しておきます(「おわり」はないですが)。

 

はじめ(形式段落1)この話するよ(おわりに「科学技術に関する3つの神話の崩壊の話」をすることが述べられている)

 

中程(残りすべて)3つの話がそれぞれ説明されていて、それぞれの意味段落のおわりに筆者の考えが述べられている。

 

おわり(なし)3つの神話の崩壊についてまとめた考えは本文にはない。

 

この構成が分かれば①②はダメで③が正解だと分かります。

 


表現についての選択肢は④⑤⑥です。対策はできません(それぞれを本文に戻って確認するしかありません)。

 

 


いかがでしたか。

文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます

はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。

 

今後も黒本の問題を扱っていきます。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。

 

要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。

検討を祈っています。

 


最後までお読みいただきありがとうございました。