高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

2018年度第1回全統記述模試_国語_第1問(評論)_解説

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、2018年度第1回全統記述模試の国語、第1問の解説です。

 

このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」(記述模試でも記号問題はありますので)をどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。

まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

文章の読み方_まとめ - 高校教員の徒然日記

マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記

 

この読み方、解き方を徹底することで記述模試で点数を取ることができます

ぜひ身につけてみてください。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。ご自分で用意してください。

なお、黒本は前年度までの全統模試の過去問となっていますので、今日現在「2018年度第1回全統記述模試」は書店で購入できません。実際に受験した方のみ持っていると思います。

 

(追記:記述模試の過去問は出版されていません。黒本はすべてマーク模試の過去問です。ということで受験した方以外は入手が困難です。学校の先生が持っていることがありますので相談してみてください)

 

形式段落での説明がメインになりますので、お持ちの問題冊子に形式段落番号を記入してください。1~11までになります。

 

 

では、始めます。

 


問1 漢字

 

すべて基本的な漢字です。これらが書けなかったとしたら漢字学習をすることをオススメします。

漢字検定2級レベルまでは完璧にしたい所ですが、時期が時期ですのでせめて準2級レベルまでは夏までに仕上げましょう。

 


問2 空欄補充

 

空欄補充は「何となく当てはめる」のではありません。文脈を読み取った上で入れるべきものを選択します。その際、「文章の読み方」を意識して考える必要があります。では、実際に解いていきます。

 

空欄X

 

ポイントは3つです。

 

①傍線部を含む一文に指示語がある。
 →直前の内容を確認する。
②形式段落の中程の部分にある。
 →この段落では何の説明がされているのかを形式段落のはじめを見て確認する。
③「対比」を意識する。 

 

空欄Xを含む段落の内容は、形式段落7のはじめを読んで分かるように「仲間でない者に何かを与えること、純粋贈与」のことだと分かります。

 

ということは、Xを含む一文の部分は「純粋贈与」の説明だと考えられます。

形式段落の作りは「この話するよ→説明→この話のまとめ」でした

 

Xを含む一文には「この境界」という指示語があるので確認すると「異類の者、見知らぬ者…彼ら・彼女らとの境界線」です。

指示語の内容は基本的に直前にあるのでした

 

それを超えることが「純粋贈与」だということですね。

この「超えるそれ」は「純粋贈与」と対比されるものだと考えられます(「それ」を超えたものが「純粋贈与」なのですから)。

では、この文章において「純粋贈与」との対比は何でしょうか。形式段落6で述べられている「贈与交換」だということは明白です。

評論では「対比構造」を意識して読むことが重要でした

 

「贈与交換」とは6段落から「贈与交換はルールを共有する仲間内でなされるもの」です。

この「仲間内」というのが、先程指示内容で確認した「異類の者、見知らぬ者…彼ら・彼女ら」との境界内でしょう。

で、純粋贈与はこれ(仲間内)を超えたものであるというわけです。

 

そういう内容の選択肢は「イ 社会の掟の外部の出来事」しかありません。

 


空欄Y

 

ポイントは2つです。

 

①形式段落の中程の部分にある。
 →この段落では何の説明がされているのかを形式段落のはじめを見て確認する。
②空欄直前に「具体例」がある。 

 

空欄Yを含む形式段落の内容は、形式段落7のはじめを読んで分かるように「異類婚姻譚」の話だと分かります。

 

空欄Yは形式段落の中程にあるからその説明部分です。どういう流れか確認します。

 

空欄Yの直前を見ると「アンデルセン、人魚姫」という具体例です。

具体例の前後には、まとめがあるはずでした

 

具体例の前は「異類の者にとって境界線を超えることは危険だが、その上に自己を否定して、別の姿を取ってやってくる」です。

 

これの具体例がアンデルセンの人魚姫です。確認します。「『人魚姫がそうである(指示語の指す内容は直前なので、先程の内容「別の姿でやってくる」です)ように、異類の者が境界線を超えるためには法外な対価を支払う覚悟が必要」です。

 

具体例のあとの空欄Yを含む一文は「Yと考えると、境界線を超える異類の者の覚悟は深い」です。

 

この3つがすべてイコールになっているというのが「具体例」の読み方でした。

抽象的な内容→具体的な内容→抽象的な内容、A→分かりやすく言うとこうだ→改めてA

 

この3つの文を比べてみると、すべて2つの要素で成り立っています。

 

①境界線を超えることは危険、対価を支払う覚悟が必要・深い
②自己を否定して別の姿をしてやってくる 

 

空欄Yを含む一文には①の内容があるのですから、空欄には②の内容が入るはずです

 

そういう内容の選択肢は「オ 相手が女の正体を知らない」しかありません。(姿が違うから正体が分からないということです)

 


問2から分かるように「形式段落の読み方」「指示語内容」「対比構造」「具体例」は重要なポイントです。「文章の読み方」で説明したこれらのことを常に意識できるようになると簡単に問題を解くことができますよ。

 

 

問3 理由説明

 

ポイントは2つです。

 

①「なぜか」という理由説明問題である。
②形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。 

 

傍線部は形式段落1のはじめにあります。ということは、このあとにその説明がなされるはずだと考えて読みます。

 

形式段落1のおわりの方に「つまり」というまとめがあり「動物は人間にとってとても有用だからだ」とあります。まずはこれが答えです。

 

ただ、このあとに「しかし、この答えは一面にすぎない」だとあるから、まだあるってことです。で、この形式段落が終わってるんだから次の形式段落2で述べられるはずです。

形式段落の「おわり」は次の形式段落の「はじめ」に繋がっていきます

 

ということで、形式段落2のおわりを読むと「動物が人間とは異なりながらも多くの点で人間と共通していることで、人間に別の存在の在り方、別の世界の可能性、生の高次の次元をもたらしてくれるから」とあります。これがもう1つの答えです。


この2つをまとまれば答えになります。

 

記述試験であっても何の問題もありません。「文章の読み方」で読むだけです。

 


問4 内容説明

 

ポイントは2つです。

 

①「どのようなものか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②傍線部を含む一文から「対比」を意識する。 


傍線部を含む一文を読んで、どのような一文かを確認します。

「初発の一切の見返りを求めない純粋贈与は、傍線部(たんなる『交換』)へと変質してしまう」です。

 

ここで大切なのは「主語と傍線部との関係」です。「純粋贈与=傍線部へと変わる」という一文の構造を押さえると、傍線部の内容は「純粋贈与」が変質する内容であること、そして、それは「純粋贈与」と対比されているものであることが分かります(「純粋贈与」が変わったのが傍線部なのですから)。

あれ、この説明、問2の空欄Xとほぼ同じですね。

 

そう、「純粋贈与」の対比は「贈与交換」でした。ただ、これだと言葉の内容が「贈与」と「交換」で全然違うので合わせましょう。傍線部を含む一文にばっちり書かれているのが「純粋贈与」なのだから、これに合わせて「交換贈与」とでもしておきます。

たとえば「金髪の少年」と「少女の黒髪」では、「性別」がメインなのか「髪色」がメインなのか全然違いますよね

 

で、「交換贈与」については形式段落6の内容でした。

 

形式段落6の3行目に「このような交換は『贈与交換』」とあるから、その指示内容を確認します。「贈与の前から返礼が義務的儀礼的になされる制度化された」交換だね。

「贈与」に視点を合わせて「義務的な返礼がある贈与」とでもします。

そして、これは仲間内でなされます(問2で確認しました)。

 

以上から、自分で答えを導くことができるはずです。

 

選択肢を見てみましょう。

選択肢は文末(後半)から見ます。この問題は、正解とエ以外はすべて選択肢文末で間違いだと判断できます。

 

 

ア「返礼」→「贈与」でした。
イ「返礼」→「贈与」でした。
エ「贈与」→文末はオッケーです。しかし、前半の「ルールを共有する仲間でない者からの返礼」が違います。仲間内でなされるのでした。
オ「サイクル」→「贈与」でした。 

 


「文章の読み方」を意識すると、ほとんどの問題は傍線部の近くに答えの根拠があることが分かります。しかし、この問題は傍線部の近くに答えがないパターンでした

このパターンはたびたび見かけますので構造を確認しておきます。

 

次のような文章構造、傍線部の位置になっている場合に、今回のように答えの根拠が離れた箇所になります。

 

形式段落1~5 Aの説明 
形式段落6~8 Bの説明
形式段落9   まとめとして「AとBは…」という文章になっていて、「AとBは」の「A」の部分に傍線部が引かれている。 

 

「A」の説明はすでに終わっているので、Aに関する問題は形式段落1~5の部分を読んで答えることになります。

このような場合があると一応知っておくことは有効ですが、「対比構造」を意識していれば(このパターンは対比構造の文章で出てくることが分かると思います)問題なく対応できると思います。

 


問5 内容説明

 

ポイントは2つです。

 

①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
 →「リレー」のニュアンスを反映する(何かを渡していくこと。バトンを渡していくのが陸上競技におけるリレーですね)。
②形式段落の中程の部分にある。
 →この段落では何の説明がされているのかを形式段落のはじめを見て確認する。 


傍線部は形式段落11の中程にあります。形式段落のはじめに「こうして異類婚姻譚では」とあるので「異類婚姻譚」の話です。

 

「こうして」と指示語があるから、指示内容を確認していきます。

 

「こうして」の直前である形式段落10のおわりに傍線部である「贈与のリレー」という言葉があり、その直前が「言い換えれば」なので、「贈与のリレー」は「鶴がなそうとしたこと」であることが分かります。

 

「鶴がなそうとしたこと」の説明は形式段落10の中程に述べられています。

 

その説明は形式段落10のはじめから「人はこの事態を指して、異類の者が人間世界へ来る」という「異類婚姻譚」のことだ分かります。ということは、「この事態」が「贈与のリレー」です。

 

指示語を確認するために、さらに戻ります。形式段落9です。

 

形式段落9のはじめとおわりを確認すると「無償性によって既成の世界理解や他者理解が揺さぶられて両者の境界線が乗り超えられる」という同じ内容になっています。これが「この事態」です。

 

「無償性」は形式段落8の具体例をはさんで説明しているので、形式段落7を見て(具体例の前後が主張)「純粋贈与」のことだと分かります。

 

これ以上は戻る必要がないので、ここまでの内容を後ろから順にまとめます。

 

①純粋贈与をする。
②その無償性によって既成の世界理解や他者理解が揺さぶられて両者の境界線が乗り超えられる
③その行為によって、鶴がなそうとしたこと(新たな純粋贈与)が生まれる 

 

☆「リレー」のニュアンスを出すために「純粋贈与が純粋贈与を生む」という流れで書きます。
☆「純粋贈与」とはどのようなものかという説明を足すとちょうどいい字数になります。

 


この問題では傍線部から随分前まで戻っていきますが、「文章の読み方」に従っているということが重要です。なんとなく遠い所を答えの根拠とするのではなく、しっかりとした根拠をもって答えにたどり着けるようになりましょう。

そのためには、しつこいようですが「文章の読み方」をマスターすることをオススメします。

 


問6 内容合致

 

内容合致問題は1つ1つ確認していくしかありませんので対策できません。

 

ただ、あくまで消去法でいくようにしましょう。微妙なのは残して、絶対に違うと分かったものから消去していきます。そして、残ったものを答えとするのです。

 

自分でそれぞれの選択肢の何が間違っているのかを考えてから、解答でどの部分が間違っているのかを確認しましょう。

 

 


いかがでしたか。

 

センター試験も記述試験も、やるべきことは変わりません。記述問題は「書く力」が要求されますが、書く内容を考える段階ではマーク式と同じなのです。

ぜひ「文章の読み方」を意識して文章を読んでみましょう。現代文の問題を解いてみましょう。

国語の学力は上がりますセンター試験でも個別入試でも武器にできるのです。

 


今後も他の問題を使ってブログを書こうと思います。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。

 

要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。

検討を祈っています。

 

では、今回はこれで終わります。


最後までお読みいただきありがとうございました。