高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

平成26年度(2014年度)_センター試験_国語第3問(古文)_解説

こんにちは。きんこです。

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今回は、平成26年度(2014年度)センター試験国語第3問(古文)の解説です。

 

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また、センター試験の過去問を効果的に使うための記事がこちらです。

ぜひ読んでみてください。

 

kinkoshin.hatenablog.com

 


では、始めましょう。


平成26年度(2014年度)センター試験国語第3問(古文)は『源氏物語』からの出題でした。


まずは本文に出てきた知っておくべき単語と文法の確認です。

さらっと見てみて「分からない」ものがあれば、Quizletでの学習をしてみましょう。

Quizletについてはこちらの記事をご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 


重要単語 

 

(今は)限り かつ[且つ] 頼む まめ(人) 世 いかさま[如何様] なめげなり おぼす[思す] かたたがへ[方違へ] 渡る 給ふ 里 おはす ほど[程] 例の さればよ いと ものす はた[将た] おとなし[大人し] さすがなり めざまし ひがひがし[僻僻し] 驚く ゐる[率る] むつる[睦る] たてまつる[奉る] うれふ[愁ふ] せうそこ[消息] 聞こゆ かく ものし[物し] おぼゆ[覚ゆ] みづから[自ら] 参る さぶらふ[候ふ] かかり ここかしこ など 年ごろ さるべし がたし[難し] あはれなり かたみに[互みに] はかなし もてなす いみじ 申す あく[飽く] あやし いらへ[答へ] ふす[臥す] いかに[如何に] 思ひやる やすし[安し] をかし あく[明く] のたまふ[宣ふ] はつ[果つ] らうたげなり 侍り いざ、給へ。 はしたなし[端なし]  らうたし いはけなし な~そ 心憂し あし[悪し] わざ[業] 

 


重要文法 

 

なめり やは・かは なむ 連用形+し+名詞 会話文中の「けり」 じ 已然形+ば 「と」の上の「む」 にき・にけり 心情動詞+る・らる e音+ら・り・る・れ にて・して ぬべし・つべし 已然形+ど だに 文中の「む」 にや・にか に+○+あり 未然形+ぬ+名詞 ずは・くは 名詞+が+名詞 終止形+らむ 未然形+ば 場所+なる+名詞 めり 連用形+なむ かし 「せ給ふ」以外の「せ」

 


設問の解説の前に

 

今回の文章は省略が多いため、非常に読みにくかったと思います。

また、上で確認したように読解に必要な重要単語や文法が多いので、知識不足だと益々読解が難しかったでしょう。

ただ、ここで大事なことを確認しておきます。

 

 

古文に限らず、センター試験の国語は

①本文が難しかったら、設問(選択肢)は難しくない。

②本文が簡単だったら、設問(選択肢)は難しい。 

 

このような傾向があるため、今回も「本文の読解は困難でも設問が易しいものが多い」問題となっています。

 

また、本文が読みにくい場合は(読みにくい場合だけではありませんが)リード文(本文の前にある説明の文)をしっかりと読んで場面を把握します。

リード文から分かる場面設定を本文読解の助けとして読むことで、少しでも話の内容を掴むのです。

設問は易しめになっているはずですから、ざっくりした内容を掴めれば絶望的な点数にはなりません。

 

今回であれば、リード文から「夫の浮気が原因で、妻が家出をした」ことが分かります。

これが分かれば、「この後2人の関係がどうなるのか」ということに注目して読めばいいことが分かるはずです。

それだけでも格段に読みやすくなります。

 


では、各設問の解説です。

 


問1 語句の意味

 

(ア) 

 

「いか[如何]」「なめげ(なり)」「じ」が重要単語、助動詞です。

 

傍線部の「いかさまに」は重要単語として覚えていないかもしれませんが、「いかが」「いかで」「いかに」辺りは覚えているはずです。

「いか[如何]」でまとめて覚えておきましょう。

「いかで」の「①どうして②どうにかして」から今回も訳せます。

 


(イ) 

 

「らうたげなり」「聞こゆ」「めり」「し(「き」の連体形)」が重要単語、助動詞です。

 

特に「敬語」は尊敬語か謙譲語か丁寧語かという種類と、本動詞か補助動詞かによって選択肢を絞ることができるので、必ず押さえておきましょう

 


(ウ) 

 

「いざ、給へ」「かし」が重要単語、助詞です。

 

 

なにはなくとも重要単語、文法を覚えましょう。

「敬語」は30語程度でオッケーなうえ、文法問題か訳の問題で出題される可能性が極めて高いので、絶対に覚えましょう。コスパ最強です。 

 


問2 文法説明

 

cを除いて頻出の文法事項です。

出題される文法事項は決まっていて覚えることも多くありませんので得点源にしたいところです

 

では、今回の選択肢を見ていきます。

 

 

「あかざたな」+「なり・めり」の「なり・めり」は(伝聞)推定の助動詞です。

「なり・めり」の上には「ん(「る」の撥音便)」が省略されているので次の形もあります。

「あかざたな」+「ん(る)」+「なり・めり」

 

「ある」はラ変、「かる」は形容詞活用語尾、「ざる」は打消「ず」連体形、「たる」は完了の助動詞、「なる」は断定の助動詞です。

 

これは「なり」の識別で頻出の形です(今回は違いましたが)。

「あかざたな」の下の「なり」は伝聞推定!と覚えておきましょう。


 

「a音+る・れ」の「る・れ」は受身、尊敬、可能、自発の助動詞です。

「e音+ら・り・る・れ」の「ら・り・る・れ」は完了、存続の助動詞です。

 

bは「a音+る」なので受身、尊敬、可能、自発の助動詞だと分かります。

 

次に受身、尊敬、可能、自発の訳し分けです。

・受身…そのまま訳せる。  

・尊敬…主語が高位。もしくは尊敬語についている。

・可能…下に打消がある。  

・自発…心情動詞、知覚動詞についている。

 

今回は「驚く」という知覚動詞についていますから自発です。


動詞「果つ」の一部です。

c「て」が助動詞とすると、上が「のたまひは」となります。

「のたまふ」は重要単語で分かりますから、「のたまひ」「は」となり「は」だけが残り文法的に説明できなくなってしまいます

日頃からスラッシュを入れながら(品詞分解しながら)古文を読むといいと思います。


 

「せ給ふ」「させ給ふ」以外の助動詞「せ」「させ」は使役です。

 

 

重要文法は覚えましょう。

多くないし難しくもありません。 

 


問3 心情説明

 

傍線部を直訳すると

「『心苦しい』とお思いになる」です。

 

直前に「を」がありますから「何を」心苦しいと思っているかが分かります

「見つけて喜び仲良くし、あるいは三条殿を慕い申し上げて泣きなさるのを、『心苦しい』とお思いになる」です。

 

泣いているのは残された子どもたちでしょうから、それを見て「心苦しい」と思うのは大将殿しかいません。

ここまで分かれば、あとは選択肢を見て判断できます。


なお、主語の判定は次の2点を参考にできます

 

・「て」の前後は同じ主語のことがほとんど。

・「を、に、ば」の前後は主語が変わることが多い。 

 

 

傍線部の直訳から始めます。

傍線部を含む一文を訳しましょう。 

 


問4 心情説明

 

傍線部を直訳すると

「必ず懲り懲りと思われなさる」つまり「懲り懲りした気持ち」です。

 

傍線部は会話文直後にありますから、直前の会話文を確認します

「どのような人がこのようなことを趣深く思われているのだろう」

 

「このようなこと」という指示語があるので、さらに直前を確認します。

注12にあるように2人の女性から疎まれ、目の前に子どもたちがいて、あっち(落葉宮)ではどのように思い乱れているのかという内容から、恋愛のことだと分かります。

 

これに対して懲り懲りなわけです。

 

まとめるとこうなります。
   
「恋愛のことで悩む→恋愛のことで趣深く思う人の気が知れない→懲り懲りだ」

 

 

傍線部の直訳から始めます。

傍線部を含む一文を訳しましょう。

指示語の内容は必ず確認します。 

 


問5 内容説明

 

この設問が最も難しかったかもしれません。

訳すことができれば問題ありませんが、今回はそれが難しいので…。

 

では、考え方です。

 

まずは、主語(会話主)を確認します。

 

三条殿に来て、若君たちを見た人物が直前まで描かれていることから、来た人物、つまり「大将殿」だと判断します。 

 

A、Cが分かれば判断できるが(会話は二人で交互にするものなので)、Bの内容だけでは判断は難しいかもしれません。

 

会話文の後が「て」で接続しているので、「その夜は独り臥し給へり」と同じ人物です。

次の段落では、大将殿が物思いにふけっている場面なので「独り臥し」ている人物は「大将殿」と判断します。

 

A、Cのどちらかが分かれば、Bは大将殿の会話相手である三条殿ということが分かり、自然とすべての主語が判明します。


主語を確認したら、それぞれの内容を見ていきます。

訳すことができれば問題ありませんが、今回はそれができなかったと仮定してそれぞれの選択肢を見ていきましょう。

 


絶対にダメと言えるところがありません。

 


Aで「子どものこと」で実家に帰ったのではないことはリード文からも分かるはずだからダメです。

 


主語が違うからダメです。

 


Cで「理解を示して機嫌を取っている」とは読めませんし、「私の名誉も考えて欲しい」も違います(これの判断は難しいかも…)。よってダメです。

 


Bで「あなたのお気持ちがもとに戻らない」となっていますが、本文では「直るべきにもあらぬ」と敬語が使われていないので、この部分は会話相手である大将のことではなく、自分自身のことと捉えるべきです。よってダメです。

 

 

会話は基本的に二人が交互に話すはずだと押さえておきましょう(そうでないとずっと独り言になってしまう…)。

敬語を使っているのか使っていないのかを人物判定に使いましょう。 

 


問6 内容合致

 

この問題は、評論や小説の最後の問題と同じように一つ一つの選択肢を吟味していき、消去法で答えを導く。その際、具体的な内容に関しては、必ず本文に戻って確認しましょう。

 

 

訳すことができているかどうかが試されている設問です。 

 

 

この話から知っておいて欲しい古文常識

 

今回は古文常識ではなく、センター試験の文章(古文含む)を読む際の注意点をお伝えします(設問解説の前にお伝えしたこととも重複する部分もあります)。

 

センター試験の国語の問題

 

本文が難しかったら、設問(選択肢)は難しくない。

本文が簡単だったら、設問(選択肢)は難しい。

 

これが基本です。

今回の問1~問4は重要単語、文法の知識があれば解ける設問、傍線部を含む一文(傍線部を含めて2行くらい)の内容だけで解ける設問でした。

本文がものすごく読みやすかったら、選択肢が紛らわしかったりひっかけがたくさんあったりしますので慎重に選ぶようにしましょう。

 

②リード文は超重要です。

 

リード文で本文の場面設定や流れが予想できることが多くあります。

また、リード文がないまま読むと分からなくなるから、わざわざつけてくれているわけです。

 

本文を読むために必要な情報、もしくは設問を解くために必要な情報が書かれているといいう意識で読みましょう

 

③注は超重要です。

 

リード文と同じ考えです。

本文を読むために必要な情報、もしくは設問を解くために必要な情報が書かれているといいう意識が必要です。

問4は注12を確認すれば容易に答えることができたはずです。

 

 

センター試験の過去問に取り組んでやるべきことは、そこに出てきた単語や文法を押さえること、そして古文常識を知っていくことです。

他の年度でもそれを意識して学習しましょう。

それの積み重ねだけでセンター試験は突破できますよ。

 

頑張ってください。


では、これで終わります。

 


センター対策の古文単語や漢文句法を確認する場合はQuizletが便利です。
次の記事もぜひご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 

センター現代文の対策はこちらの記事をご覧ください。

マーク対策についてまとめたので古文漢文にも通じる部分が多くあります。

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平成27年度(2015年度)_センター試験_国語第4問(漢文)_解説

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今回は、平成27年度(2015年度)センター試験国語第4問(漢文)の解説です。

 

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また、センター試験の過去問を効果的に使うための記事がこちらです。

ぜひ読んでみてください。

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では、始めましょう。


平成27年度(2015年度)センター試験国語第4問(漢文)は『篁墩文集』からの出題でした。

 

まずは本文に出てきた知っておくべき重要漢字と句法の確認です。

さらっと見てみて「分からない」ものがあれば、Quizletでの学習をしてみましょう。

Quizletについてはこちらの記事をご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 


重要漢字

  

将  之  両  蓋  相  能  臥  則  亦  久  悄  遂  自  欣然  為  何  親  但  至  耳  適  然則  与  已
                         

 

重要句法

 

以A為B  命AB  豈独A

 


では、各設問の解説です。

 


問1 漢字の意味

 

(1) 

 

文脈から判断するしかありませんが、「承知」という熟語や古文重要単語の「うけたまはる」から容易に判断できます。

 

 

(2) 

 

「適」は「①たまたま(偶然)②まさニ(ちょうど)」と読む漢字です。

「適当」という熟語がありますが、これは「ちょうどいい」という意味です

設問で「最も適当なものを選びなさい」というのは「最も(ちょうど)いいものを選びなさい」という意味です。

 

 

漢字の読みや意味の問題は、覚えるべき漢字が出題された場合を除くと、どれだけ漢文を読んできたか、漢字の学習(漢字検定など)をしてきたかに依るところが大きいです。授業や問題演習に出てきた漢字は覚えることを意識しましょう。

また、文脈から漢字の意味を予想する習慣も必要です。

やはり全文を訳せるようになるということが目標になります。 

 


問2 重要漢字

 

(ア) 

 

「将」は重要漢字であり基本句法である再読文字です。

選択肢はすべて再読文字です。

再読文字は10個しかありませんので確実に覚えておきましょう。

問題になってなくても、本文には必ず出てくると思っていいですよ。

 


(イ) 

 

「自」は重要漢字です。

「みづかラ・おのづかラ」の読みもありますが、下から返って「よリ」と読むのは基本中の基本です。

「従」が同じ用法を持っています。

 

なお、「如」「以」「毎」「雖」も重要漢字です。

 

 

なにはなくとも重要漢字、句法を覚えましょう。 

 


問3 文末の助字

 

それぞれの用法を知っているのが一番ですが、知らなくても訳していけば分かります

「耳」「已」は重要漢字・句法なので覚えておきましょう。

 

 

助字の用法は暗記しなくてもかまいません。

重要漢字を覚えておくこと、訳すことができること、この2点ができていれば解けます。 

 

   
問4 理由説明

 

まずは傍線部を直訳します

「あぁ、普通と違うなぁ(不思議だなぁ)」です。

 

この傍線部が前半部分の最後にあることから、前半部分のまとめであると考えます。

 

ここまでの内容で「普通と違う、不思議だ」と感じることが読み取れるかどうかです。

 

実の親子でない猫が実の親子のようになったことを指すことは容易に分かるでしょう。

 

 

傍線部の直訳から考えます。

段落のどの部分に傍線部があるかを意識しましょう。

 


問5 解釈

 

素直に直訳してみます

「人の子はどうして必ず自分で生もうか(いや生まなくてもよい)」です。

 

「親」を「みづかラ」と読むことが難しいかもしれませんが、それを飛ばして訳しても内容は何となく分かります

 

さらに、前半の猫の話、傍線部の前後の内容(后に子どもがいないため他人の子を世話させ、その2人にも親子の情愛が備わった話)から、「子どもは自分で生まなくても、親子になれる」というような話だと分かると思います。

 

 

傍線部の直訳から考えます。

傍線部が会話文にある場合は、どのような状況で発した言葉か確認しよう。 

 


問6 書き下し文

 

重要漢字、句法がありますが、選択肢のすべての読みがあり得ます。

こういうときには、それぞれを訳して判断するしかありません

 

取り組み方としては、まず自分でなんとなくでもいいので訳してから選択肢を見るということが重要です。

これをしないと、それらしい選択肢にダマされてしまいます。

 

今回であれば読む順に何となく訳していくとこうなります。

「世の中の親と子どもで(この辺りは「為」の訳が難しいかもしれないので何となく)、不慈不孝な者がいるのは、どうして昔の人に恥じるだけだろうか、いやそれだけでない」

 

このように訳せる選択肢を選びます。

 

 

記号問題だとしても、記述と同じように自分で答えを作ってから選択肢を見ましょう。 

 


問7 筆者の主張

 

今回の文章は典型的な漢文の構造となっています。

 

 

例①(具体)→例②(具体)→主張(抽象) 

 

また、主張の部分で「今の~」「世の~」となっている場合は、先に述べた例に比べて「今の者はダメ、世の中の(何か)はダメ」というパターンとなっていることが圧倒的に多いです。

 

今回も、文章最後に主張があり「世の親子で不孝者は昔の人に恥ずかしく思う(例②から)」さらに「異類(猫)にも恥じる(例①)」と述べていますから、「今の世の中の不孝者の親子はダメだ」という主張だと分かります。 

 

 

よくある漢文文章の構造を知っておきましょう。 

 

 

この話から知っておいて欲しい漢文常識

 

2つあります。

 

1つは、漢文に限らず古文も含めて「孝」の話がよくあるということです。

そのパターンは次のようになります。

 

①子が親に尽くす。

親がひどい人でも尽くしたり、親がひどい目に遭っているのを身を挺して助けたり、自分を差し置いて親のために生活したり…

②子に困難が起きる。

③仏様が登場したりして、子の困難が解消される。

④「孝(親孝行)」って大切だとまとめられる。 

 

今回の文章はこのパターンにはなっていませんが、この話のパターンを知っておくと、「孝」が大事なのだ、「孝」は素晴らしいのだという流れが容易に掴めると思います。

 


もう1つは、問7でも説明しましたが漢文文章の構造です。

 

「具体例→まとめ・主張」となっている場合が多いことを知っておくとお得です。

なぜなら、具体例、まとめのいずれかの内容がイマイチ分からなくても、どちらかが分かれば書いてあることが予想できるからです。

 

 

具体例が難しい→まとめの部分が分かれば、そこから予想できる。
まとめが難しい→具体例の部分から考えることができる。 

 

文章が読みやすくなりそうですよね。

 


センター試験の過去問に取り組んでやるべきことは、そこに出てきた漢字や句法を押さえること、そして漢文常識を知っていくことです。

他の年度でもそれを意識して学習しましょう。

ただ、漢文の文章は比較的短く、過去問だけでは受験に必要な重要漢字や重要句法をカバーすることは難しいので、暗記事項は別に学習することをオススメします

 

頑張ってください。


では、これで終わります。

 

 

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マーク対策についてまとめたので古文漢文にも通じる部分が多くあります。

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では、始めましょう。


平成27年度(2015年度)センター試験国語第3問(古文)は『夢の通ひ路物語』からの出題でした。


まずは本文に出てきた知っておくべき単語と文法の確認です。

さらっと見てみて「分からない」ものがあれば、Quizletでの学習をしてみましょう。

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重要単語  

 

かたみに[互みに] おぼす[思す] うつつ[現] 頼む 心憂し ながむ[眺む] わたる[渡る] あぢきなし いと つつまし[慎まし] 影 をさをさ おぼゆ[覚ゆ] あきらむ[明らむ] ありし 語らふ 聞こゆ わろし をこなり のたまふ[宣ふ] いとどし 給ふ こなた おのづから[自ら] おまへ[御前] こころざし[志] になし[二無し] まさる[増さる・勝る・優る] よに[世に] いささか[聊か] つぼね[局] しめやかなり 参る ついで[序] かの[彼の] たてまつる[奉る] 程 わづらふ むべに[宜に] 侍り げに[実に] こよなし さぶらふ[候ふ] 久し いかに[如何に] いぶかし なほ[猶・尚] 忍ぶ はつ[果つ] ふみ[文] おこす かかり 言ふ甲斐無し かなし こもる[籠る] え~打消 ひとへに[偏に] せうそこ[消息] なかなか いかで 御覧ず おもほす[思ほす] いづこ さり[然り] くもゐ[雲居] しらべ[調べ] ほどなし 憂し あはれに すさむ[荒む・遊む] きしかたゆくさき[来し方行く先] かきくらす いたし[甚し] ふす[臥す] いとほし いかなり[如何なり] ちぎり[契り] もろともに おもひやる[思い遣る]

 


重要文法

  

已然形+ど 未然形+で ぬべし 未然形+ね+已然形接続の語 已然形+ば てしがな・にしがな さへ る・らる だに ぞ やは・かは e音+る・れ き せ給ふ・させ給ふ けむ 未然形+ぬ にや・にか なむ に+○+あり 文中の「む」 こそ 未然形+ましかば… 名詞+が+名詞 連用形+なば かし めり 連用形+なむ 「もの」系

 


では、各設問の解説です。

 


問1 語句の意味

 

(ア) 

 

「あぢきなし」が重要単語です。

これだけで判断可能です。

 

 

(イ) 

 

「あきらむ[明らむ]」が重要単語です。

「にしがな・てしがな」は自己願望の終助詞で超重要です。

願望の終助詞を確認しておきます。どれも頻出です。

 

・未然形+ばや(たい) 
・連用形+にしがな・てしがな(~たい)
・もがな・がな(~たい、ほしい、があったらなぁ)
・未然形+なむ(~てほしい)…これのみ他者願望です。 

 

 
(ウ) 

 

「こころざし」「になし[二無し]」「まさる[増さる]」が重要単語です。

 

 

なにはなくとも重要単語、文法を覚える必要があります。

特に文法は覚えることも少ないため得点源にできます。 

 


問2 敬語の説明

 

問2で敬語問題が出た場合、「誰から誰への敬意か」が問われます

「誰へ」は「敬意の対象」のことです。

 

では、解くための学習手順です。


①重要敬語の暗記

 

「尊敬語か謙譲語か丁寧語か」「口語訳」を覚えます。

30単語ほどしかありません。

 

②誰からの敬意かの判断方法

 

その敬語が地の文(会話文以外のところ)か会話文(心中語も含む)かで判断します。

地の文→作者から   

会話文→話者から


③誰への敬意か(敬意の対象)の判断方法

 

その敬語が「尊敬語」か「謙譲語」か「丁寧語」かで判断します。

 

尊敬語…動作の主体(~が、は)への敬意

謙譲語…動作の客体(~を、に)への敬意

丁寧語…聞き手、読者への敬意

 


敬語の問題と聞くと苦手意識を持っている受験生が多いのですが、学習することは上記のみです。

覚えることも少ないですし、全然難しくありませんよ。

 

難しいとしたら、動作の主体や客体、誰が誰に話しているのかを読み取りにくいことがあるという読解の部分においてです。

「敬語」自体が難しいわけではありませんね

 

では、今回の設問を確認します。

 

 

一文前から右近の台詞ということは明白です。

「侍り」は丁寧語です。

丁寧語は会話相手に対する敬語でした。

右近が女君に話している場面であるということも容易に分かるはずです。

話者である右近から聞き手である女君に対する敬意を示す丁寧語です

 

 

『 』にあります。

『 』の前の一文「昨日文おこせし中に(昨日手紙を送ってきた中に)」の一文に注目すれば「清さだ」の台詞であり、男君の様子について語っている内容ということが容易に分かります。

「給ふ」は尊敬語です。

尊敬語はその動作(ここでは「籠もる」)の主体に対する敬語でした。

男君が籠もりなさらないのです。

話者である清さだから「籠もる」の動作の主体である男君に対する敬意を示す尊敬語です。

 

 

「 」の中にあります。これは男君の手紙の内容です。

もし、それが分からなくても問4の設問から、男君からの手紙と分かるでしょう。

ここでの「給ふ」は過去の「き」に続くことから連用形「給へ」であることが分かります。

連用形が「給へ」ということはハ行下二段活用ですから謙譲語の「給ふ」です(尊敬の「給ふ」は四段活用)。     

謙譲語の「給ふ」は丁寧語と同じように、会話相手(手紙の相手)への敬意です。

男君が手紙を送る相手は女君しかいませんね。

話者(手紙を書いている人)である男君から、聞き手(手紙の相手)である女君に対する敬意を示す謙譲語です。

 

 
☆2つの「給ふ」を確認しておきます。

 

尊敬語「給ふ」

→ハ行四段活用。

→ほとんどの「給ふ」はこれです。

 

謙譲語「給ふ」

→ハ行下二段活用。

→会話文や手紙文で使われます。

→会話相手や手紙を送った相手に対する敬意です。

 

「給ふ」が問題になっている場合は、「下二段活用」の可能性があるのかを一応確認する必要があります。

連用形(給へ)や連体形(給ふる)となっていることが多いので、その形から判断できるはずです(命令形でない「給へ」や「給ふる」となっていれば絶対に下二段活用)。

 

 

敬語は①~③の手順を踏むだけです。

難しいと思われがちですが超簡単です。

謙譲語「給ふ」は要チェックです。 

 


問3 心情説明
  
心情説明は傍線部を訳せば「心情」があります

ここでは「恥ずかしく、悲しい」です。

 

傍線部の直前に会話文があるので、その内容を確認します

(会話文直後の傍線部の設問は会話文が答えの根拠のことが圧倒的に多い)

 

「昔ながらの関係だったら、こんなに苦しむだろうか、いや苦しまないはずなのに」です。

 

この訳ができれば容易です。

 

ここには古文における超重要構文があるから確認します。

 

☆反実仮想「まし」

 

A+ 未然形 + ば、Bまし。

A+  せ  + ば、Bまし。

A+ ま せ + ば、Bまし。

A+ ましか + ば、Bまし。 
 

訳…もしA(だった)ならば、Bだろうに。

 

本当に言いたいことは、「現実にはAだから、Bじゃない!」ってこと

 

例…鏡に色・かたちあらましかば、うつらざらまし。

訳…もし鏡に色や形があったら、うつらないだろうに。

言いたいこと…現実には、色や形がないから、うつる!

 

反実仮想は設問になる可能性が高いので覚えておきましょう。

 

 

会話文直後の傍線部は会話文が解答の根拠です。    

 


問4 内容説明

 

A、Bそれぞれの内容をまとめるしかありませんが、AよりもBの方が短いこと、選択肢は後半が大事なのでBを押さえるべきことを考えて、まずはBの内容を押さえます

 

Bはほぼ和歌です。

 

和歌は難しいと苦手意識を持っている受験生が多いですが、基本的に直訳すればオッケーです

 

今回の和歌も何となく直訳してみます。

「思ってなくても離れたことを嘆いて一緒に消えてしまいましょう」です。

 

男君と離れ離れになって悲しいから男君と一緒に消えちゃいたいと言っているわけです。

この内容になっている選択肢を選びます。

③しかありません。


Aの方は和歌も含めて、内容を掴む必要があります。

訳せるかどうか(和歌は直訳でオッケー)が試されます。

今回はBだけで正答を導けますが。

 

 

和歌は直訳でオッケーです。
選択肢の後半と関連する部分をしっかりと確認します。 

 


問5 心情説明

 

まずは傍線部を直訳し心情を確認します

「それぞれを考えると悲しい」です。

 

傍線部の直前に会話文があるので、その内容を確認します
    
「(女君の手紙は)このように言葉は少ないけれども、(男君は)ますますしみじみと気の毒に御覧になるだろう」

これが答えの根拠となります。

また、男君と女君の手紙のやり取りや、二人は結ばれることがないという悲しい話であることが分かっていれば容易に判断できます。

 

 

会話文直後の傍線部は会話文が解答の根拠です。   

 

 

問6 内容合致

この問題は、評論や小説の最後の問題と同じように一つ一つの選択肢を吟味していき、消去法で答えを導きます。

その際、具体的な内容に関しては、必ず本文に戻って確認します。

 

 

訳すことができているかどうかが試されている設問です。 

 

 

この話から知っておいて欲しい古文常識

 

古文の恋愛話にはあるパターンがあります

ほとんどの恋愛話はこのパターンから派生します。

その恋愛話パターンが次のようなものです。

 

①主人公の男性と、ある女性が恋に落ちる。

 

②ある理由から男性と女性が別れることになる。

*別れる理由としては、男性と女性の身分が大きく違い男性が親から紹介された身分の高い女性と結婚させられるというものが圧倒的に多い。

他に、仕事の都合(転勤とか)で離れ離れになってしまう、女性が身分の違いに引け目を感じて突然姿を消す(田舎に行ったり出家したり)などの場合があります。

 

③別れる際、女性は悲しみながらも男性に「行ってください。それがあなたのためです」と告げる。

男性は悲しみながら(女性のことをますます愛しいと思いながら)別れることにする。

 

④男性と女性は離れ離れになってもお互いを思い続ける。

 

⑤その後、女性のことを忘れることができない男性が偶然女性と再会を果たす。

 


入試問題はこのパターンのどこかが切り取られます。

今回はリード分で①~③が描かれ、本文で④が描かれています。

絶対にこのパターンに当てはまるということではありませんが、ほとんどはこれです。

(現代の恋愛小説やドラマも一定のパターンがありますよね)

あとは出題された文章を読みつつ、このパターンを頭に思い描くと格段に読みやすくなりますし、イメージもしやすくなります。

知っておいて損はないはずです。

 

 

センター試験の過去問に取り組んでやるべきことは、そこに出てきた単語や文法を押さえること、そして古文常識を知っていくことです。

他の年度でもそれを意識して学習しましょう。

それの積み重ねだけでセンター試験は突破できますよ。

 

頑張ってください。


では、これで終わります。

 

 

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センター対策の古文単語や漢文句法を確認する場合はQuizletが便利です。

次の記事もぜひご覧ください。

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センター現代文の対策はこちらの記事をご覧ください。

マーク対策についてまとめたので古文漢文にも通じる部分が多くあります。

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平成28年度(2016年度)_センター試験_国語第4問(漢文)_解説

こんにちは。きんこです。

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今回は、平成28年度(2016年度)センター試験国語第4問(漢文)の解説です。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。

センター試験の過去問は、市販されている問題集を購入するか、大学入試センターのホームページからダウンロードできます(過去3年分)。

どちらかでご準備をお願いします。

www.dnc.ac.jp

 

また、センター試験の過去問を効果的に使うための記事がこちらです。

ぜひ読んでみてください。

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では、始めましょう。

 


平成28年度(2016年度)センター試験国語第4問(漢文)は『抱経堂文集』からの出題でした。

 

まずは本文に出てきた知っておくべき重要漢字と句法の確認です。

さらっと見てみて「分からない」ものがあれば、Quizletでの学習をしてみましょう。

Quizletについてはこちらの記事をご覧ください。

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重要漢字  

 

即  能  一日  事  之  亦  嘗  遊  至  為  既  乃  以  胡為  得  見  又  可  於是  所  則  而已  余  因  夫  況  相

                         

重要句法

 

不能A  未A  A使BC  AB。況C乎

 


では、各設問の解説です。

 


問1 漢字の意味

 

(1) 

 

重要漢字がありませんから文脈から判断します。

波線部の前が「生まれて十ヶ月で母を亡くした」で、波線部の後が「母をことをますます思う」となっていることを考えれば容易に分かります。

 

また、漢文の基本構造は「S+V+C・O」ですが、「有・無」は「有(無)+S」のようにSが下に来ます

*このブログでは「S=主語」「V=述語(用言・助動詞)」「C=補語(ニ・ト・ヨリ)」「O=目的語(ヲ)」としています。

 

そう考えると、今回は「知がある」というような訳になるので、選択肢④⑤に絞ることができます。


(2) 

 

「遊」は重要漢字です。

「遊説(自分の考えを各地を旅しながら説いて回る)」という熟語とともに覚えておきましょう。

 

 

漢字の読みや意味の問題は、覚えるべき漢字が出題された場合を除くと、どれだけ漢文を読んできたか、漢字の学習(漢字検定など)をしてきたかによるところが大きいです。授業や問題演習に出てきた漢字は覚えることを意識しましょう。

また、文脈から漢字の意味を予想する習慣も必要です。

やはり全文を訳せるようになるということが目標になります。 

 


問2 漢字の意味

 

(ア) 

 

「即」は重要漢字です。

 

(イ) 

 

「乃」は重要漢字です。

「そこで」と訳す場合と「なんと」と訳す場合がありますので、どちらかは文脈で判断します。

多くの場合は「そこで」です。

 

 

重要漢字は覚えましょう。100個くらいで得点源になりますよ。 

 


問3 解釈

 

重要句法や重要漢字がまったくないので、文脈で判断するしかありません。

基本は直訳です。

 

問1(1)と同じ流れで流れで考えると難しくありません。

 

なお、「時時」には現在も使う「時々」の意味もありますが、古文漢文で同じ語を重ねることが「強調・継続」を示すことを知っていれば、「いつも」という意味もあることが分かります。

例えば「泣きに泣く」は「非常に泣く・泣き続ける」などと訳します。

 

 

基本は直訳です。
あとは前後の文脈と照らし合わせて考えます。 

 

   
問4 返り点と書き下し文

 

漢文の構造として次の2点を覚えておきましょう。

 

①漢文の構造は「S+V+C・O」です。

*このブログでは「S=主語」「V=述語(用言・助動詞)」「C=補語(ニ・ト・ヨリ)」「O=目的語(ヲ)」としています。

 

②「C・O」がさらに「S+V」となっている場合にはSに「ノ」がつきます。

例  

我  聞  彼  飼  猫 。
S  V (   O   )

 

Oの中身 … 彼  飼  猫
       S  V  O

 

私は聞いた(彼が猫を飼っているのを)

 

はじめの一文の読みは「我彼の猫を飼ふを聞く」となります。

「彼」につく「」が重要です。


以上、2点を必ず覚えておきます。

その上で以下のように考えていきます。

 

 

①「V」に当たる漢字を探す。

②「V」を見つけたら下に「C(ニ)」「O(ヲ)」のどちらが来るのかを考える。(何も来ないこともあります) 

 

今回の「V」は「哀」と「不能」の2つがあります。

さらに「不能」は「V」から返ってくる助動詞的な役割(V[スル]ことあたハず)ですから、「事」が「つかフ」と読む「V」と判断します。

 

以上が分かれば容易です。

 

 

漢文の構造から考えるようにしましょう。 

 


問5 解釈

 

「胡為」「使」「乃」「得」「見」が重要句法、重要漢字です。

 

ちょっと訳しにくいかもしれませんが、素直に訳してみて、内容が合っている選択肢を選びます。
  
難しくありません。

 

 

まずは傍線部の直訳をするところから始めます。
重要句法、重要漢字は覚えましょう。 

 


問6 指示内容

 

指示語の指す内容は基本的に直前の内容です

 

Dは直前の「夢に即して書いた絵」であり、当然「母」のことだと分かります。

選択肢では「母の姿」となっています。

 

Eは主語になっているので続きを読むと「母を夢見た境」です。

選択肢では「母の夢を見る場面」となっています。

「境」のニュアンスから他の選択肢にある「夢を見た土地の風景」と迷うかもしれませんが、これでは「母を夢見た」のニュアンスがありません。

 

 

いつだって直訳が基本です。 

 


問7 内容説明

 

直後の会話文を訳すだけの設問です。

訳すことができれば容易でしょう。

 

また、漢文文章の構造からも考えることが出来ます

漢文は「具体例→まとめ・主張」の形の文章が多いです

具体的な話を長々として、このことから○○が分かるよねっていう流れです。

 

今回の傍線部はこの「まとめ・主張」の部分に当たります。

この話が「孝(親孝行の「孝」です)」の典型的な話だと分かれば容易です。

 

主人公が母のことを思い続けたから会うことができたのです

 

 

漢文文章の構造「具体例→まとめ・主張」を知っておきましょう。

やはり直訳が基本ですね。 

 

 

この話から知っておいて欲しい漢文常識

 

2つあります。

 

1つは、漢文に限らず古文も含めて「孝」の話がよくあるということです。

そのパターンは次のようになります。

 

①子が親に尽くす。
親がひどい人でも尽くしたり、親がひどい目に遭っているのを身を挺して助けたり、自分を差し置いて親のために生活したり…

②子に困難が起きる。

③神や仏様、偉い人が登場したりして、子の困難が解消される。

④「孝(親孝行)」って大切だとまとめられる。 

 

今回の文章は「困難」はありませんでしたが、この話のパターンを知っておくと、  「孝」は大事なのだ、「孝」は素晴らしいのだという流れが容易に掴めると思います。

 


もう1つは、問6でも説明しましたが漢文文章の構造です。

「具体例→まとめ・主張」となっている場合が多いことを知っておくとお得です

 

なぜなら、具体例、まとめのいずれかの内容がイマイチ分からなくても、どちらかが分かれば書いてあることが予想できるからです。

 

 

具体例が難しい→まとめの部分が分かれば、そこから予想できる。
まとめが難しい→具体例の部分から考えることができる。 

 

文章が読みやすくなりそうですよね。

 

 


センター試験の過去問に取り組んでやるべきことは、そこに出てきた漢字や句法を押さえること、そして漢文常識を知っていくことです。

他の年度でもそれを意識して学習しましょう。

ただ、漢文の文章は比較的短く、過去問だけでは受験に必要な重要漢字や重要句法をカバーすることは難しいので、暗記事項は別に学習することをオススメします。

 

頑張ってください。


では、これで終わります。

 

 

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センター現代文の対策はこちらの記事をご覧ください。

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平成28年度(2016年度)_センター試験_国語第3問(古文)_解説

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今回は、平成28年度(2016年度)センター試験国語第3問(古文)の解説です。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。

センター試験の過去問は、市販されている問題集を購入するか、大学入試センターのホームページからダウンロードできます(過去3年分)。

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では、始めましょう。


平成28年度(2016年度)センター試験国語第3問(古文)は『今昔物語集』からの出題でした。

 

はっきり言って非常に簡単な問題でした。

訳しづらい箇所がほとんどなく、内容が分かりやすいからです。

もし、このレベルが出題されたら超ラッキーです。

余裕で完答できるでしょう。

 

演習として取り組んでも重要単語や文法、古文常識などがしっかりありますので、悪くありませんよ


まずは本文に出てきた知っておくべき単語と文法の確認です。

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重要単語 

 

今は限り ほど[程] ゐる[居る・率る] たがふ[違ふ] ねんず[念ず] とし[疾し] ありつる いらへ[答へ・応へ] しかれば あさまし こころう[心得] 限りなし さはる[障る] 日ごろ せむ方なし 参る 籠もる 給ふ 年ごろ 頼む 奉る 候ふ しるし[験] かくて のたまふ[宣ふ] なんぢ[汝] まかる[罷る] かく いざ かの[彼の] いかで[如何で] ぐす[具す] いかに[如何に] あへて[敢へて] 悩む ふす[臥す] すう[据う] やむごとなし おぼゆ[覚ゆ] しかり[然り] いと いやし[賤し] いかなり[如何なり] けうなり[希有なり]

 


重要文法 

 

会話文中の「けり」 連用形+ぬ 名詞+の+用言 に+○+あり にて・して 已然形+ども 「と」の上の「む」 にき・にけり ごとし 名詞+が+名詞 已然形+ば 「あかざたな」+なり・めり 名詞+の+名詞 文中の「む」 e音+ら・り・る・れ  「の」の上の名詞を「の」の下にある連体形の下に補うことができる「の」 未然形+ね+已然形接続の語 か 「給ふ」につかない「す」「さす」 てき・てけり

 


では、各設問の解説です。

 


問1 語句の意味

 

(ア)
 
「念ず」が重要単語です。

「祈る」か「我慢する」かは、「頭が痛いけれども、念じて『早く家に行って…』」という文脈から容易に判断できます。

「ど・ども」などの「逆接」は文脈を掴むうえで非常に大切なので意識して読みましょう。

 

(イ) 

 

「いかで」が重要単語です。

疑問の場合、反語の場合を文脈で判断しなければいけません。

傍線部を含む一文から「人が通ることができそうもない扉の迫(はさま)から入ろうとしている」という内容が分かるので、反語になりますね。
                
(ウ) 

 

「いかに」「あへて」が重要単語です。

「他人の家に入っていったのに、傍線部」という文脈ですので、単語の意味が分かれば容易です。

 

 

何はなくとも重要単語を覚えましょう。

傍線部前後の文脈を掴むと、より簡単に正答できます。 

 


問2 「の」の識別

 

助詞「の」の識別ができるかどうかです。

助詞「の」の用法は以下の5点を押さえます。

 

①主格(「が」と訳す)→「名詞+の+用言」の形

②連体修飾格(「の」と訳す)→「名詞+の+名詞」の形

③同格(「で」と訳す)→「の」の上の名詞を「の」の下にある連体形の下に補うことができる形

④体言の代用(「のもの」と訳す)→文脈から判断する

⑤比喩(「のような」と訳す)→和歌(特に上の句・序詞)でよく見られる

 

この中で最も重要なのが③の同格です

これを見分けることができると、だいたいの問題は正答できます。

なお、①②④については上の説明で覚えるというよりは訳すと大体判断できます

 

では、今回のものを1つずつ確認しましょう。

 

a 

訳せば分かります。「鬼たち私に唾を吐きかけた」です。

 

訳せば分かります。「僧が出てきて男傍に立って」です。

 

これが同格です

見た瞬間に分かるように慣れてほしいところです。

「の」の上にある「牛飼の童」を「の」の下にある「恐ろしげなる」という連体形の下に補うことができます

こういう場合、この「の」は同格「で」と訳します。

「牛飼の童とても恐ろしいそうな牛飼の童が」と訳します。

ポイントは「の」の下に「連体形」があるかどうかだと言えます。

 

これも同格です

「の」の上にある「扉の迫」を「の」の下にある「なき」という連体形の下に補うことができます

こういう場合、この「の」は同格「で」と訳します。

「扉の隙間人が通ることができそうもない扉の隙間から」と訳します。

 

訳せば分かります。「童が『ただ入れ』と言って男手を取って」です。

 

 

文法問題はあっという間に得点源にできますよ。

頻出の文法事項を覚えてしまいましょう。 

 


問3 理由説明
  
まず傍線部を直訳します

「悲しいことはこの上ない」です。

 

傍線部の直前に会話文があるときには、会話文の内容が答えの根拠となっている場合が非常に多く今回もそうです

 

直前の会話文は
「鬼が私につばを吐いたことによって、私の体が隠れてしまったのだなぁ」です。

 

私の体が見えないから悲しいのですね

 

このことを押さえて選択肢の後半を見ると、正答は1つしかありませんね。

 

 

会話文直後の傍線部は会話文が解答の根拠です。   

 

 

問4 内容説明

 

まず傍線部を直訳します

「(男は)喜びながら夢を頼みにして童のお供として行く」です。

 

2つのポイントを確認します。

 

1つめは、問3と同じように直前に会話文があるということです。

会話文直後の傍線部は会話文が解答の根拠でした。

「私の体は現れた(見えるようになった)のだ」です。

 

見えるようになったから、喜んでお供としてついていったのです

これだけでも選択肢の後半で正答を導けます。

 

ただ、もう1つのポイントもお伝えしておきます。

それは傍線部の中に「夢を頼みて」とあることです。

当然、その「夢」の内容を押さえることで「童についていった」理由がはっきりするでしょう

前の段落の終わりに「夢覚めぬ」とありますから、そこまでが「夢」の内容だということは容易に分かります。

その部分を訳すことも難しくありませんよね。

 

 

会話文直後の傍線部は会話文が解答の根拠です。

傍線部に内容を確認した方がいい「ことば」がある場合には確認しましょう。 

 


問5 内容説明


本文全体と照らし合わせるしかありません。

通常の問6と同じパターンです。

これを正答するためには、本文を訳すことができていることが条件になります。

 

 

センター古文は訳すことができるかが勝負です。

重要単語、文法を覚えましょう。

他の科目に比べると、覚えることはべらぼうに少ないですよ。

また、頭の中で話を整理しながら文章を読むようにしたいですね。 

 


問6 内容合致

 

この設問は、評論や小説の最後の問題と同じように一つ一つの選択肢を吟味していき、消去法で答えを導きます。その際、具体的な内容に関しては、必ず本文に戻って確認しましょう。

 

 

訳すことができているかどうかが試されている設問です。 

 

 

この話から知っておいて欲しい古文常識

 

2つのことをお伝えします。

 

まず1つめです。

 

現在、病気になる原因は科学的にいろいろ言われますね。

ウィルスの感染だとか身体のどこかに異物ができたりだとか。

しかし、古文の世界の「病気」は「物の怪(もののけ)」と言われる悪霊や生き霊が取り憑くことによってなるものだと考えられていました

 

だから、病気を治すためには「加持・祈祷(かじきとう)」をして「物の怪」を「調伏(ちょうぶく)」する必要があります。

簡単に言うと、加持・祈祷で物の怪を退治するってことです。

また、加持・祈祷を簡単なイメージで説明すると(あくまで便宜的に)、僧が火をたいたり、白い紙がついた棒をバサッバサッてやったり、念仏を唱えたりするアレです。

身分が高い方に対する加持祈祷では何百人という僧が一斉に加持・祈祷をしたそうです。

 

今回の話で言うと、後半に出てきた「姫君」に「牛飼の童」姿の物の怪(厳密に物の怪と言っていいかは置いておきます)が取り憑いていたということです。

だから、験者(加持祈祷を行う僧)が来たときに、牛飼の童は逃げたわけです。

 

古文では物の怪や仏様などがたくさん出てきますが、今回の文章で出てきたものを確認しておきましょう。

 

 

鬼、観音、牛飼の童、神の眷属 

 

これらはすべて「人間」ではありません。

仏様であったり、物の怪であったり、それらの表現です。

ちなみに、神様など人間以外の者は「童」などの姿で現れることも多いです

 


次に2つめです。

 

古文や漢文で「観音様(仏様)」が出てきた場合です。

古文の世界も漢文の世界も基本的に仏教の世界です。

ですから、仏様たちは「良い存在」であることが基本です

人間が一生懸命お祈りすると助けてくれる存在だということです

 

次のような話のパターンが多いので知っておくといいですよ。

 

①話の主人公が何か困る

②もともと熱心にお祈りをしていたor困ってからでもお祈りする

③仏様が夢に出てきたり、実際に姿を現したり、仏様の部下が現れたりして、助けてくれる

④やっぱり仏教最高、仏様最高だからお祈りすることって大事とまとめられる 

 

今回もこのパターンですね(最後のまとめはカットされていますが)。

 

もちろん良い神様ではなく、悪い神様が登場することもありますが、その場合必ずと言っていいほど「注」を読めば分かるようになっています

「注」はしっかりと読む必要があります

 

あ、「注」で思い出しましたが、今回も「超重要な注」がありましたね。

「牛飼の童」の注です。わざわざ「必ずしも子どもとは限らない」と書かれていたのは、波線部cの設問に絡んでいるからです。

「童」が「子ども」だとしたら「牛飼の童とても恐ろしいそうな童が」と「同格」になることに疑問を抱くかもしれません(子どもで恐ろしいて変じゃない?って)が、この注があることによってこの「童」が子どもではない可能性があるのだから「恐ろしそうな童」としても不思議ではないことが分かります。


余計なことが書かれている「注」は解く際のヒントが隠れていることが多いですから、やはり注はしっかり確認しましょうね。

 


センター試験の過去問に取り組んでやるべきことは、そこに出てきた単語や文法を押さえること、そして古文常識を知っていくことです

他の年度でもそれを意識して学習しましょう。

それの積み重ねだけでセンター試験は突破できますよ。

 

頑張ってください。


では、これで終わります。

 

 

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センター対策の古文単語や漢文句法を確認する場合はQuizletが便利です。

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センター現代文の対策はこちらの記事をご覧ください。

マーク対策についてまとめたので古文漢文にも通じる部分が多くあります。

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平成29年度(2017年度)_センター試験_国語第4問(漢文)_解説

こんにちは。きんこです。

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今回は、平成29年度(2017年度)センター試験国語第4問(漢文)の解説です。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。

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では、始めましょう。


平成29年度(2017年度)センター試験国語第4問(漢文)は『白石先生遺文』からの出題でした。

 

まずは本文に出てきた知っておくべき重要漢字と句法の確認です。

さらっと見てみて「分からない」ものがあれば、Quizletでの学習をしてみましょう。

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重要漢字  

 

之  如  以A  相  故  則  所A  非A  従A  夫  者  称  為  而  亦  蓋  愈  得  古  窃
                         

 

重要句法

 

猶A  豈不A哉  未A  欲A  不可A

 


では、各設問の解説です。

 


問1 漢字の読み

 

(ア) 

 

「蓋」は重要漢字です。

他の選択肢の「盍(なんぞ)」「果(はたして)」「将・且・当(まさに)」「乃・則・即・輒(すなはち)」も重要漢字ですから覚えておきましょう。

 

(イ) 

 

「愈」は重要漢字です。

他の選択肢の「数・屢(しばしば)」「却(かへつて)」「甚(はなはだ)」「頗(すこぶる)」も重要漢字です。

 

 

重要漢字は覚えましょう。100個くらいで得点源になりますよ。 

 

 

問2 漢字の意味

 

(1) 

 

「千載」から「千載一遇」という四字熟語が思い浮かぶかが大きなポイントです。

思い浮かばなかったとしたら文脈で判断するしかありません。

続く「刻舟求剣」の話がが舟が移動した後の「今」と剣を落とした「過去」との比較であること、後半の段落が「今」と「古」との比較であることからの判断となるでしょう。

 

(2) 

 

「舟」や「車」が集まる場所という直訳と、傍線部が「大都会」である「江戸」の説明であるという文脈からの判断になります。

 

 

漢字の読みや意味の問題は、覚えるべき漢字が出題された場合を除くと、どれだけ漢文を読んできたか、漢字の学習(漢字検定など)をしてきたかに依るところが大きいです。授業や問題演習に出てきた漢字は覚えることを意識しましょう。

また、文脈から漢字の意味を予想する習慣も必要です。

やはり全文を訳せるようになるということが目標になります。 

 


問3 内容説明

 

「どういうことか」問題はイコールを問われているわけですから直訳することから始めます

 

また、「如(ごとし)」は比喩なので、何を何に例えているのか、そしてその例えは何を意味するのかを考えます

 

・雷鳴(音大きいよね)→遠いと太鼓を叩いている音のようだ

・江河(大きな河だよね)→遠くから見ると帯のようだ

 

どちらも「大きい」けれど、遠いと「小さくなる」というようなことを例えていることが分かります

 

それが分かれば選択肢の後半を見れば正答を導けます。

 

 

比喩表現は何を何に例えているのかを確認します。
これは現代文や古文も同じです。 

   

 

問4 理由説明

 

「刻舟求剣(古い考えやしきたりにこだわり、時代の移り変わりに気づかないこと)」という故事を知っていると格段に解きやすくなります。

「矛盾」などは誰でも知っているのでしょうが…。

多くの文章を読んでいるとやはり有利になることがあります


でも、当然ながら知らなくても解けます

この設問は知識問題ではなく読解問題ですから。
 
まずは傍線部を直訳することから始めます

「なんと『惑』ではないか」

「惑」が訳しにくいかもしれませんが「戸惑い・困惑」などのマイナスのイメージは持てます。

 

形式段落の終わりにありますから、この段落のまとめと考えます

(現代文などでも重要な読み方ですよ)

ですから、傍線部直前の内容を読み取れるかどうかが大事です。

わかりにくい表現もありますが、分かる漢字だけ拾って接続(「非ざるも」が逆接など)を意識して内容を掴んで欲しいところです

もし傍線部(1)辺りからの流れが全然分からないとしたらどうしようもないです…。

 

 

やはり古文漢文は訳すことができるかにかかっています。

漢文は句法だけを覚えるのではなく、出てきた漢字と送り仮名などに注目し丁寧に読み進める練習をしましょう。同じ文章を繰り返して読んでも十分に力はつきます。

その際、単に読み進めるのではなく、「こういうことね」とまとめながら読むようにしましょう。 

 


問5 返り点と書き下し文

 

漢文の構造として次の2点を覚えておきましょう。

①漢文の構造は「S+V+C・O」です。

*このブログでは「S=主語」「V=述語(用言・助動詞)」「C=補語(ニ・ト・ヨリ)」「O=目的語(ヲ)」としています。

 

②「C・O」がさらに「S+V」となっている場合にはそのSに「ノ」がつきます。

 

例  

我  聞  彼  飼  猫 。
S  V (   O   )

 

Oの中身 … 彼  飼  猫
       S  V  O

 

私は聞いた(彼が猫を飼っているのを)

 

はじめの一文の読みは「我彼猫を飼ふを聞く」となります。

「彼」につく「の」が重要です


以上、2点を必ず覚えておきます。

その上で以下のように考えていきます。

 

 

①「V」に当たる漢字を探す。

②「V」を見つけたら下に「C(ニ)」「O(ヲ)」のどちらが来るのかを考える(何も来ないこともあります)。

これに付け加え「、」がある場合、基本的に「、」の前後でそれぞれ文が完結している(SとVがある)と考えておきます(例外もあります)。

 

今回は「、」が2つあるから3つの部分で「V」から探します

 

一つ目は「為」がVになるしかありません。選択肢から「なす」か「たり(断定)」と判断します。

二つ目は「訪」です。之「を」訪ねるという流れです。「古(昔)」に訪ねるんでしょう。

三つ目は「未A」の再読文字がありますから「聞」からの「未(ず)」に戻ります。

「聞」の目的語を「之」と考えると「聞」の下に「之」があるべきですが(先程確認した構造から考えるとVの下にOなので)、どの選択肢も「之→聞」の順で「之」の送り仮名は「を」なので、このブログで説明している原則から外れていると考えます。

なお「之」は「ゆク」とも読みますが、ここでは文脈上おかしいことは明白です。

 

以上に加え、傍線部の直前が「而れども」と逆接になっていることから「江戸は大都会であるけれど、傍線部」という文脈と合わせて判断します。

 

 

今後は漢文の構造(S+V+C+O)を意識して読んでみましょう。
文脈判断の際には「逆接」などの接続を意識することが大事です。 

 


問6 理由説明

 

まずは直訳します。

「『遺文』の書は(これに)よって作ったものだ」です。

 

「由(よりて)」には「これ」が省略されていますので「これ」を補います。

(「以(もつて)」が「Aをもつて」の「A」が省略されているのと同じです)

 

ですから「(これに)よって)」の「これ」が理由です。

 

指示語の指す内容は直前です。

「私は窃かにこれに感じているんだ」です。

 

何に感じているのか「これ」の指す内容を確認します。

 

直前(前の段落の最後の一文)を確認します。

「時間の経過とともに物事は変化するから昔のことを知ることが難しい」という内容です。

 

このようなことを感じているから『遺文』の書を書いたのです。

これを踏まえて、選択肢の後半を読めば正答を導けます。

 

 

丁寧に直訳し、指示語があればその内容を確認していくだけです。 

 

 

この話から知っておいて欲しい漢文常識

 

正直、この文章での「漢文常識」は特にありません。

日本人が書いたものですしね。

ただ、設問の解説で伝えた「漢文の構造」は非常に大切です

後漢文を読むときには、本当に意識してもらいたいと思います。

構造を意識しながら返り点に従って音読してみてください

あっという間に「漢文」のリズムに慣れることができるでしょう。

リズムに慣れてきたら、漢文を読む力がつきます。

信じられないかもしれないけれども本当ですので、ぜひやってみてください。

 


センター試験の過去問に取り組んでやるべきことは、そこに出てきた漢字や句法を押さえること、そして漢文常識を知っていくことです。

他の年度でもそれを意識して学習しましょう。

 

ただ、漢文の文章は比較的短く、過去問だけでは受験に必要な重要漢字や重要句法をカバーすることは難しいので、暗記事項は別に学習することをオススメします

 

頑張ってください。


では、これで終わります。

 

 

センター対策の古文単語や漢文句法を確認する場合はQuizletが便利です。

次の記事もぜひご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 

 

センター現代文の対策はこちらの記事をご覧ください。

マーク対策についてまとめたので古文漢文にも通じる部分が多くあります。

kinkoshin.hatenablog.com

 

平成29年度(2017年度)_センター試験_国語第3問(古文)_解説

こんにちは。きんこです。

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今回は、平成29年度(2017年度)センター試験国語第3問(古文)の解説です。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。

センター試験の過去問は、市販されている問題集を購入するか、大学入試センターのホームページからダウンロードできます(過去3年分)。

どちらかでご準備をお願いします。

www.dnc.ac.jp


また、センター試験の過去問を効果的に使うための記事がこちらです。

ぜひ読んでみてください。

kinkoshin.hatenablog.com

 

 


では、始めましょう。


平成29年度(2017年度)センター試験国語第3問(古文)は『木草物語』からの出題でした。

 

まずは本文に出てきた知っておくべき単語と文法の確認です。

さらっと見てみて「分からない」ものがあれば、Quizletでの学習をしてみましょう。

Quizletについてはこちらの記事をご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 


重要単語 

 

にはかなり まうく[設く] ~あへず かたじけなし いそぎ[急ぎ] もてなす ふす[臥す] 給ふ たぐひなし[類無し] はかなし 渡す ところせし[所狭し] をかし まがふ[紛ふ] あはれなり ゐざる[居ざる] こちたし[事甚し] わく[分く] にげなし[似げ無し] あてなり[貴なり] らうたげなり え~打消 ひま[隙] 候ふ いかなり はらから 侍り 月頃 あからさまなり 渡る をり[折] むつかる 聞こゆ なほ 世を背く 承る いやし こよなし ゆゑ[故] げに[実に] いみじ 常無し うちつけなり そぞろなり いかが せうそこ[消息] こころう[心得] ながむ[眺む] おはす おまへ[御前] つれづれなり おはします 物語 いたし[甚し] ゆかし あやにくなり しげし[繁し] わびし おぼす[思す] とし[疾し] 参る たがふ[違ふ] あやし かひなし[甲斐無し] ことわり[理] らうたし ひとりごつ


重要文法 

 

已然形+ば e音+ら・り・る・れ 未然形+ぬ+体言 「もの」系 に+○+あり ぬらむ だに せ給ふ・させ給ふ ずは 未然形+で まじ 場所+なる+名詞 にや・にか 已然形+ど 連用形+ぬ

 

では、各設問の解説です。


問1 語句の意味

 

(ア) 

 

「にげなし[似げ無し]」が重要単語ですが、知らない可能性が高いと思います。

ですが、傍線部を含む文から「恋をする女性が質素な家に『にげなし』で上品でかわいい」という文脈から「不釣り合い」を容易に選べます。

なお、古文の世界では、田舎やぼろぼろの家に住んでいるけど美しいという不釣り合いな女性に恋をするパターンが多いことも知っておくといいと思います。

 

(イ)

 

「聞こゆ」が重要単語、「まほし」が願望の助動詞です。

「まほし」では判断できませんが、「聞こゆ」で容易に判断できます。
 
(ウ)

「あやし」が重要単語です。

多義語ですが文脈から容易に判断できます。

 

 

何はなくとも重要単語や助動詞を覚えることが重要ですね。

古文常識を知っていることも大切です。 

 


問2 種々の識別

 

この手の文法問題は確実に得点したいところです。

少しの事項を覚えるだけで簡単に得点できるようになります

今回は頻出の文法事項ばかりです。

これらは繰り返し出題されます。

なぜなら、それらが頻繁に文中に出てくるからです。

Quizletを数年分見てみるだけで頻出の文法事項が分かるはずですよ。

 

では、今回の文法事項を確認します。

 

a 「未然形+ぬ」の「ぬ」は打消「ず」連体形→「ぬ」の識別

b 「に+○+あり」の「に」は断定「なり」連用形→「に」の識別

c 「ぬらむ」「ぬべし」「なむ」の「ぬ・な」は完了(強意)「ぬ」→「ぬ」の識別

d 「連用形+ぬ・ね」は完了「ぬ」終止形・命令形→「ぬ・ね」の識別

e 「未然形+ぬ+体言」の「ぬ」は打消「ず」連体形→「ぬ」の識別

 

これらは1時間もあれば理解できます。さくっと勉強しちゃいましょう。

もし、それができなかったり、これらを理解しても迷ったときの方法もお伝えしておきます。

それは「接続」を確認すということです。

例えば、今回であればそれぞれの波線部の直前を確認するとこうなります。

a 未然形

b 名詞(体言)

c 連用形

d 連用形

e 未然形

ほら、これだけでも分けることができますね。

とはいえ、これは最終手段です。

今回は正答できますが、この方法だけではできないこともあります。

やはり1時間くらいは文法の勉強(頻出の識別くらいは)をしましょう。

 

 

文法の暗記事項は少ないうえ簡単なので得点源にしましょう。 

 


問3 内容説明

 

名詞である傍線部「御心地」に修飾している部分がついていますから、その部分がイコールです

 

たとえば「美しい花」で考えてみます。

「花」に「美しい」という修飾語がついています。

「花」の説明を問われたら「美しい花」となりますよね。

 

傍線部を修飾部を含めて訳しましょう

とてもしみじみした人を見たなぁ、尼でないなら会わないで終わることができない『御心地』です。

誰を見たのかはここまでの流れで「若い女性」だと分かるでしょう。

その子に会いたいのだから、それは「恋心」です。

古文で「女性を見たい(女性に会いたい)」というのは、基本的に「恋をしたい」ということです(現代も通じないわけではないと思います)。

 

ちなみに、「尼でないなら」と言っているのは、尼のような出家した人は俗世間と交わることができないため、恋愛などができず恋愛対象にならないからです。

このあたりも古文常識として知っておきたいところです。

 

 

傍線部の内容説明は、主語・修飾部に注目しましょう。

傍線部を含む一文に注目して考えるようにしましょう。 

 

問4 内容説明

 

傍線部を直訳すると「眠たそうにふるまった」だから、その理由を考えます。

傍線部を含む一文(傍線部の前後)を確認すると傍線部直前に「已然形+ば」がありますから、直前が理由ですね(「已然形+ば(~ので・から)」は絶対に覚えておかないとダメです)。

傍線部の一行前からの内容を確認すると

返事が待ち遠しいんだけど、人が多いのが嫌に思ったから、眠たそうにした」ことが分かります。

 

 

傍線部を含む一文に注目しましょう。

「已然形+ば」は答えの根拠になることが多いので常に意識して読みましょう。

(「已然形+ば」が出てこない古文はないと言っても過言ではありません) 

 


問5 和歌説明

 

和歌が出てきたら、次の手順で確認します。

 

①どんな場面か。

②誰が誰に詠んだのか。

③直訳。 

 

和歌の修辞が問われている設問以外は、この3点を確認すれば大丈夫です。

では、今回の和歌を確認します。

 

①菊君が娘に恋心を抱いている場面。

②菊君が娘に詠んだ和歌。

③露のようにこのような心も頼りないなぁ、黄昏時に見た家の夕顔の花。

③の「夕顔の花」が「娘」を指していることは明白です。

 

なお、和歌中にある「はかな」は形容詞「はかなし」の語幹です。

「形容詞の語幹用法」を確認しておきます。

形容詞が語幹だけの場合、詠嘆です

例えば「すご(すごいなぁ)」「くさ(くさいなぁ)」と現在も使います。


①娘に代わり老尼が返歌をした場面です。

直前に会話文があるので、ここを踏まえます。

「こんな手紙を受け取る人はいません。場所違うんじゃないですか」に続く歌です。

直訳するときはこれに続く内容だと思って訳しましょう。

②老尼が菊君に詠んだ和歌。

③出家した質素なみずぼらしい家に、どんな夕顔の花を見たのか。

 

この家にそんな女性はいませんよと言っているわけですね。

 

選択肢を確認します。

このパターンは前半がXを、後半がYを説明しています。

選択肢は基本的に後半から見ることをオススメします。

その理由は以下のブログで説明していますのでご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 

今回も後半、つまりYの説明で正答を導けます。

 

 

和歌は難しくありません。

どんな場面で誰が誰に詠んだのかを確認して、直訳しましょう。 

 


問6 内容合致

 

この問題は、評論や小説の最後の問題と同じように一つ一つの選択肢を吟味していき、消去法で答えを導くしかありません。

その際、具体的な内容に関しては、必ず本文に戻って確認しましょう。

 

 

訳すことができているかどうかが試されている設問です。 

 

 

この話から知っておいて欲しい古文常識

 

古文の世界の恋愛は現代の恋愛と大きく違います

次の2点の相違点は押さえておきましょう。

 

①恋愛や結婚の形

 

現代は、自分で好きな人を見つけ、つき合って、結婚するという自由恋愛が基本だと思います。

しかし、古文の世界はすべて政治的な判断で結婚が決まります(政略結婚)。

結婚相手は親によって決められてしまいます。

親の願いは「自らの昇格」や「一族の繁栄」ですから、息子や娘の結婚相手として身分の高い者を求めるわけです。

このような時代背景がありますから、自由に恋愛しようとして身分差や親の反対で引き裂かれる物語が多く作られたわけです。

 

②結婚に至るまでの経緯

 

現代は、男女関係なく常に顔を合わせた状態で生活しています。

しかし、古文の世界では成人式(男子なら初冠(元服)、女子なら裳着)を終えると、基本的に顔を合わせる機会がなくなります

成人した女性は男性と直接顔を合わせません。常に家の中にいて男性と話すときには御簾越しに話します。

また、女性が男性に今で言う告白をすることもありません。

恋愛は男性が女性に気持ちを伝えるところから始まりました

 

では、男性は女性と会えないような状態でどうやって恋愛感情を持つの?って思いますよね。

次の2つのパターンがあったようです。

 

まず、男性が女性をのぞき見るパターンです

庭で遊んでいる女性や、たまたま行っていた屋敷に住んでいる女性を「垣間見る」というパターンです。

日頃、女性を見ることがないため、ちらっと見えるとものすごく惹かれてしまい、一気に恋心となってしまうというわけです。

今回の問題文もこのパターンです。

 

もう1つは、噂を聞いて好きになってしまうパターンです

女性の親が「うちの娘は美しくて気立てがよくて最高だ」と噂を流すわけです。

で、その話を聞いた男性が恋文(ラブレター)を贈るところから恋が始まるパターンです。

 

どちらの場合も、男性が女性に惹かれたら和歌(恋文)を贈ります

その後、そのやり取りが続き、お互い(親がチェックしていることも多々あり)オッケーになると、実際に会います。

日が暮れてから男性が女性の家に行き、召使いに案内されて女性と御簾越しに話を交わし、夜が明ける前に男性は帰ります。これがデートですね。

この関係が続くと、男性が女性の部屋に入り男女の関係になります。

男性が夜が明ける前に帰るのは男女の関係を持っても変わりません。

が、逢瀬の後は和歌を贈るのが礼儀とされていました(後朝の文と言います)。

結婚するときは、男性が3日連続女性の家に通い、3日目に所顕し(ところあらわし、今で言う結婚披露宴)を行います。これで正式に結婚が認められます。

 

説明をはしょってはいるのですがちょっと長くなってしまいました。

ただ恋愛や結婚に関して現代と大きく違うということが分かったかと思います。

これらのことを知っておくと、読みやすくなる古文がたくさんありますよ。

 

 


センター試験の過去問に取り組んでやるべきことは、そこに出てきた単語や文法を押さえること、そして古文常識を知っていくことです。

他の年度でもそれを意識して学習しましょう。

それの積み重ねだけでセンター試験は突破できますよ。

 

頑張ってください。


では、これで終わります。

 


センター対策の古文単語や漢文句法を確認する場合はQuizletが便利です。

次の記事もぜひご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 

センター現代文の対策はこちらの記事をご覧ください。

マーク対策についてまとめたので古文漢文にも通じる部分が多くあります。

kinkoshin.hatenablog.com