高校教員の徒然日記

PMA~Positive Mental Attitude~

国語(現代文・評論文)の勉強法・解き方

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

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質問も受け付けていますのでぜひフォローしてください。


今回は現代文(主に評論文)の勉強法について書きます。

 

国語、特に現代文はどのように勉強していいか分からない方が多いと言われています。

だから「フィーリングでやるしかない」「できる人はできるけど、できない人はできない」「勉強しても点数が取れない」などと言われてしまっているようです。

しかし、国語は「学力を上げることのできる教科」です。

学習の方法もしっかりありますのでお伝えしたいと思います。

 


国語力を上げて試験や模試で高得点を取るためには2つの力をつける必要があります。

その2つの力がこれです。

 

1.文章を読むテクニック
2.文章を読むための知識 

 

では、この2つはどのようにすれば身につくのでしょうか。そして、何故必要なのでしょうか。1つずつ見ていきます。

 


1.文章を読むテクニック

 

必要な理由

 

どんな問題にも必ず文章があります。
とすると、文章を正しく読むテクニックを持たなければ何が書かれているかを正確に読み取れないということになってしまいます。

書かれていることが理解できないのに、問題を解くことなどできるはずがありません。

ですから、まずは文章を読むテクニックが必要となるのです。


身につける方法

 

①文章を読むテクニックがどのようなものかを知る

 

文章を読むテクニックは難しくありません。時間もそれほどかかりません。

このブログを見てテクニックを知って国語の学力を上げようと思った方は以下のリンクから文章の読み方を読んでみてください。

kinkoshin.hatenablog.com

 

ちなみにセンター試験などマーク式問題の解き方は以下のリンクから読んでください。記述問題にも共通する部分がたくさんあります。

kinkoshin.hatenablog.com

 


②テクニックを実際に使って文章を読む

 

テクニックを知ったら、その後はひたすら練習です。

文章を読むテクニックを意識しながら文章を読みまくって、テクニックをマスターするのです

 

これは国語の勉強に限らず他の教科も同じです。1冊の参考書や問題集を繰り返して完璧にする。そうすることでその参考書なり問題集が自分の血肉となったとき確かな学力がつく。これが学力アップの王道です。

また、勉強に限らずスポーツでも芸術でも同じではないでしょうか。
理論や理屈が分かっていても、すぐにその通りにできることはなかなかないでしょう。そのときに何をしますか。答えは明白です。ひたすら練習するしかありません。練習して頭ではなく身体に染み込ませる必要があるのです。

 

ただ、ここで注意点があります

 

それは「正しい文章の読み方」で文章を読んでいるのかどうかということです。

自分では正しく読んでいるつもりでも、実は間違えていたら成果はなかなか出ません。

ですから、自分の読み方が正しいかどうかを確認する必要があります。

 

もし、あなたが私の授業を日常的に受けているなら問題ありません。私の読み方とあなたの読み方が同じかどうかをいつも確認できるからです。
しかし、実際にはこのブログでしか私とあなたは繋がっていないわけですからこれは不可能です。

 

そこで何をするか。3つあります

 

第一に「文章の読み方」を繰り返し読むことです。時折私のブログに戻ってきて目を通してください。そして、ブログを見ることなく「文章の読み方」を説明できるようになるまで繰り返し読んでみてください。

 

第二に自分で読んでみた文章をこのブログにある解説で確認することです
このブログでは大学入試問題や進研模試全統模試、市販の問題集などの解説をしています。そのすべてを「文章の読み方」で解説していますので、それらを使って練習してみてください。そうすることで文章を読む力と、試験で得点する力の両方を鍛えることができます。

 

第三、最後です。これが何より重要です。
それは1度読んだ文章(解いた問題)を復習するということです
その際にこのブログの解説に書かれていたことを自分で説明できるかを確認します。ブログの解説と同じように読み解くことができているかを確認するということです。もし不明瞭な部分があれば再びブログを見て確認します。
これを繰り返します。


繰り返しになりますが、文章の読み方を身につけるために最も重要な工程は3つめです

物事が上達しなかったり学力が思うように上がらなかったりする原因は間違いなくここにあります。つまり、ほとんどの人は同じことを繰り返して完璧にするということをしないのです

たしかに、同じことをやるのはモチベーションが上がらないかもしれません。一見すると無駄なような気もしてしまいます。新しい文章や問題に触れた方が勉強した気にもなるでしょう。

しかし、効率よく「力」を身につけたいならば、この方法が最適です。やってみると分かりますが、解説を完璧に再現するのは非常に難しいことです。再現できないということは「文章の読み方」で読めていないことを意味します。ですから、解説を再現できるようになることが「文章の読み方」をマスターする近道なのです。

せっかく読んだ文章、解いた問題です。しっかりと使い込んであげたいものです。

 


以上、文章を読むテクニックを身につける方法でした。

 


2.文章を読むための知識

 

必要な理由

 

言葉を知っていれば文章をさくさく読むことができます(知らなくてもその都度調べればいいけれども時間がかかりますよね)。

書かれている話題の背景知識を持っているとその文章は格段に読みやすくなります。

おまけみたいなものですが、漢字の書き取りや語句の意味を問われる問題もあります。


身につける方法

 

これはもうドリルと読書(テレビなどの情報番組なども含む)しかありません。

 

①漢字

 

漢字を覚えるにはドリル形式の学習が一番でしょう。ただ機械的に書いたりするのではなく、漢字の意味を意識しながら学習すると一層の効果を得ることができます。

具体的には、覚えたい漢字の「訓読み(これがその漢字の意味なんですよ)」を確認することと、その漢字を使って「熟語(漢字の意味が反映されていますよ)」を作ることオススメします。そうすることで、その漢字を本当の意味で知ることができるからです。
そして、その積み重ねが語彙数を増やしてくれます。

 

また、問題集は本屋さんやネットで見てみて気に入ったもので大丈夫です。多くの問題集が出ていますが、どれも洗練されていて素晴らしいものばかりですから。自分がいいなと思ったものが一番いいと思います。

 

それでも何をやっていいか分からないという方は漢字検定に取り組んでみましょう。
漢字検定は各級で出題される漢字が決まっていますので、飛び級はオススメしません
4級あたりから取り組むことをオススメします。大学受験を考えるのであれば2級まで学習すれば問題ありません。

 

②語句

 

これも市販されている参考書で気に入ったもので構いません。どれを選んでも収録語句は大きく変わりませんし、その説明も似たり寄ったりです。持つ雰囲気はそれぞれ違いますので、自分のフィーリングに合いそうなものを選んでみてください。

語句は一問一答より実際の文章のなかで確認することの方が重要です。語句の学習はあくまで参考程度にし、多くの文章に触れるなかで「あ、こんな語句あったな。こういう風に使うのか」と知っていくようにしましょう。

 

③背景知識

 

語句の参考書とセットになっていることが多いかもしれません。

評論で話題になることが多いジャンルなどについてまとめてくれています。

一生懸命覚えようとするのではなく、こんな話があるのかと暇つぶしに読んでみましょう。

多くのことを知れば知るほど物事は複雑に絡み合っていることが分かってきて、面白くなる瞬間に出会えると思いますよ

 

参考書は効率よく背景知識を得ることができますが、それは多くの文章のまとめに過ぎません。

ですから、大学入試問題や模試、問題集に取り組んだのであれば、そこで書かれていたことも自分の中に蓄積していくという意識を持つことも大切です。

まとめられた参考書の中身が、より具体的に見えてくるはずです。

 

また、余裕と読みたい気持ちがあるならば新書などを読むといいですね。誰のものでも構いませんし何でもいいです。少しでも自分の興味が持てそうなものを読んでみてください。

誰か教えてーという方は、教科書で読んでみて面白いなと思った筆者のものを読んでみましょう。

 


以上、文章を読むための知識を身につける方法でした。

 


今回お伝えした2つの力「文章を読むテクニック」と「文章を読むための知識」とを身につけたならば、国語(現代文)が得意だと言えるようになっているでしょう。そして、それは何も難しいことではありません。他教科の方がよっぽど難しいと思います。

 

やるべきことは簡単なことだったはずです。

 

私の話を信じてやってみてください。


最後に付け加えておきます。

多くの「国語の勉強の仕方」の教えでは、まず「知識」をつけて、それから「読み方」を身につけるというような順になっています。

しかし、私そうではなく「読み方」を身につけることこそが何よりも重要だ考えています。「知識」は「読み方」を補うサプリ的な要素に過ぎません。

ですから、現代文の力をつけようと思うのならば「文章の読み方」をマスターすることを優先してみてください。難しい漢字や知識を覚えるのではなく「読む方法」を身につける。この意識が何よりも大切ですし、その意識を持っていれば必ず国語力はつきます。

 

応援しています。国語を武器にしましょう!

 


最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

センター古文漢文の学習法もまとめました。合わせてご覧ください。

kinkoshin.hatenablog.com

 

 

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2018年度高1進研模試7月(総合学力テスト)_国語_第1問(評論)_解説

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、2018年度高1進研模試7月(総合学力テスト)の国語、第1問の解説です。

このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」(記述模試でも記号問題はありますので)をどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

文章の読み方_まとめ - 高校教員の徒然日記

マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記

 

この読み方、解き方を徹底することで模試で点数を取ることができます

ぜひ身につけてみてください。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。

ご自分で用意してください。

実際に受験した方は持っていると思います。

受験していない方は学校にある場合がありますので、先生に相談してみてください。
進研模試の過去問は学校に進研模試の集冊版があるはずです)

 

形式段落での説明がメインになりますので、お持ちの問題に形式段落番号を記入してください。1~21までになります。

 

 

では、始めます。

 


問1 漢字

 

すべて基本的な漢字です。これらが書けなかったとしたら漢字学習をすることをオススメします。大学受験を考えると漢字検定2級レベルまで完璧にしたら漢字は大丈夫です。

漢字学習をどうやっていいか分からない方は漢字検定をベースに学習をするといいでしょう。

なお、漢字検定は各級で出題される漢字が決まっていますので、飛び級はオススメしません。4級、もしくは3級から学習を始めましょう。

 

ちなみに、今回の漢字aは準2級、bは6級、cは4級の範囲に該当する漢字です。

 


問2 内容説明

 

ポイントは3つです。

 

①形式段落のおわりの部分にある。
②傍線部中に指示語がある。
③形式段落のおわりは次の形式段落のはじめに繋がる。 

 

傍線部は形式段落7のおわりにあります。

形式段落の作りは「この話するよ→説明→この話のまとめ」です。

この段落は何の話をしているのか、形式段落のはじめを見て確認します。

 

すると「実はこれこそ、動物が本来もっている能力です」とあるので、「動物が本来もっている能力」の話をしていたことが分かります。

つまり、傍線部にある「その能力」はこの「動物が本来もっている能力」なわけです。

 

では、「動物が本来もっている能力」とはどのような能力かというと、「これこそ、動物が本来もっている能力」なわけですから、「これ」の指す内容です。

 

指示語の指す内容は基本的に直前というルールと、形式段落のはじめは前の形式段落のおわりから繋がっているというルールとの2つから、形式段落6がその内容だと判断します。

 

形式段落6は一文ですので、それをまとめると「その能力」です。

「過去と未来に注意を向けずに、今現在眼の前に展開する事象を見つめる能力」となります。

 

形式段落7の中程では、具体的に説明されていて「今ここに注意を払っている」という表現があり、これは先ほどの後半「見つめる」の言い換えとできますから「注意を払う」に変えます。

「過去と未来に注意を向けずに、今現在眼の前に展開する事象に注意を払う能力」

 

設問は「その能力」が「錆びつ」いた状態の説明ですから、「能力が衰えた状態」と答えます。

「過去と未来に注意を向けずに、今現在眼の前に展開する事象に注意を払う能力が衰えた状態。」

 

これでも十分答えとしてはいいのですが、もう一歩いってみましょう。

形式段落6は前の段落から続いています。では、形式段落5のおわりはどうなっていますか。「無所住心」のことを述べていますね。つまり、形式段落6は「無所住心」の話だったわけです。だとすると、「能力」とは「無所住心」のことだと分かります。

 

形式段落5のおわりに「無所住心」のことが述べられているのですから、この段落で説明があったはずですね。中程にあります。「今の現在、何が起きているのかに、万遍なく注意を払うのが、『無所住心』です」

これって先ほどの答えの後半とほぼ同じことを言っていて、こっちの方が分かりやすそうです。こっちを作って答えを作ってみましょう。

 

「過去と未来に注意を向けずに、今現在何が起きているのかに万遍なく注意を払う能力が衰えた状態。」

 


問3 理由説明

 

ポイントは1つです。

 

①形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。 

 

「腹が立たない」理由が問われています。

 

形式段落のはじめにあるのだから、この段落で説明がされていくはずです。おわりを確認しましょう。

「『無所住心』で眺めればいいのです」

これが傍線部の理由です。「無所住心」でいるから腹が立たないわけです。

 

では、「無所住心」で眺めるとはどういうことなのでしょう。そういう意識で読み進めると形式段落10が目につくはずです。

 

「『無所住心』で眺めていると…」と始まっています。

 

ポイントは2つでしょう。1つは「冷静に受けとめられる」こと。もう1つは「今ここ、今現在を公平に楽しむ」こと。

 

このことが述べられている選択肢を選べばよいのです。

 

選択肢は文末から見ます。今回は文末だけで答えが出ますよ。

 

 

1 「意見の弱点を発見できる」→確認したポイントと違います
2 「どんな意見も冷静に受け入れる」→受けとめることと受け入れることは違いますよ
3 「反感を捨て去ることができる」→確認したポイントと違います
4 「会議中に述べられた意見だけ」→「今ここ」に該当します
  「冷静に検討できる」→「冷静に受けとめられる」に該当します 


ちなみに、形式段落9を「具体例」の段落として読むこともできます。

具体例の前後にはまとめがあるのでした

「無所住心→形式段落9の具体例→無所住心」という作りですね。

ですから、形式段落9の具体例も無所住心の説明です。もちろん「今ここ、今現在を公平に楽しむ」の説明になっています。これをヒントに考えることもできます。

 

このように「文章の読み方」をマスターしていくと、その1つ1つが絡んで文章になっているということが分かってきます。読みながら「これはあの構造だ」と意識できるまでになったら評論は余裕ですよ。

 


問4 内容説明

 

ポイントは1つです。

 

①設問と傍線部をしっかりと読む。 

 

最も基本的なことですが、何が問われているのかを確実に押さえます。そして、傍線部の問題なのだから傍線部をしっかりと読みます

 

今回は「このようにならないために仕事はどうすればいいか」が問われています。

つまり、傍線部にある「自分の内面ばかり考えていると小賢し」くなってしまうから、そうならために仕事はどうすればいいか、が問われているということです。

どうすればいいかなんて簡単ですね。自分の内面ばかり考えなければいいのです(内面ばかり考えるから小賢しくなるんだから考えなければいい)。

 

では、これを「仕事」に当てはめてみましょう。

 

「仕事」の話題は形式段落12からです。先ほどの「自分の内面ばかり考えなければいい」という答えの方向性を意識して読むと形式段落12~14あたりで同じようなことを述べていることが分かります。

「目の前の仕事を一生懸命やると自分のことではなく意識と注意が外に向く」状態になると読み取れますね。

 

このことが述べられている選択肢を選べばよいのです。

 

選択肢は文末から見ます。今回は文末だけで答えが出ますよ。

 

1 「仕事の全体像が生き生きと見える」→確認した内容と違います
2 「自分の心身の在り方にとらわれなくなった」→「自分のことではなく意識と注意が外に向く」に該当します
3 「逆に楽しめる」→確認した内容と違います
4 「本当にしたいことに着手できる」→確認した内容と違います 

 


問5 論旨理解と作文

 

これは文章の読み方のまとめの問題です。

文章の読み方の目的は、文章の主張を読み取ることです。そのために文章がどのような作りになっているのか、どのような技法があるのを伝えたのが「文章の読み方」です。

 

文章の読み方で今回の文章を大きく読み取ると次のようになります。

 

はじめ…人の注意は過去と未来に向けられている。
おわり…小さな考えになってしまいダメだ。

 

筆者は「注意を過去と未来に向ける」ような態度ではダメだと言っています。

 

それで、中程の説明でそうならないためにどうすればいいのかを述べています。

 

それが「無所住心」であり、眼前の仕事に集中することであり、自分を規定しないことです。

 

今回の場合は、この中程の部分が筆者の主張になります。

 

このことを踏まえて設問のA君、B君の会話を読んでいくのです。

 

A君は「今のままで良い」と言っています。違いますね。筆者の主張は「自分を規定してはいけない」のです。それは形式段落16(「規定」について段落)にあるように、「どんな人間にも変えていけるから」です(これが空欄Xの内容です)。

 

だから、「今現在の自分を受け入れる(自分を規定する)」という考えに、こだわったりとらわれたりする必要はないのです(これが空欄Yの内容です)。

 


問6 論の展開

 

ポイントは1つです。

 

①論の展開の問題は最後に注目する 

 

論がどのように展開しているかについては様々な説明の仕方ができます。しかし、最後の部分(行き着く先)だけは変えることができません。ですから、本文の最後、そして選択肢の最後を確認し同じになっているかを見ることで解くことができます。

 

今回の文章の最後はどうなっているかというと、「小さな考えが増殖していく」という問題を述べて終わっています

 

このことが文末で述べられている選択肢を選べばよいのです。

 

選択肢を見てみましょう。

 

1 「心の在り方はどうすれば回避できるか」→確認した内容と違います
2 「この生き方(無所住心)に戻るべきだ」→確認した内容と違います
3 「問題点について説明」→問題について述べていました
4 「前者の状態を理想とすべき」→確認した内容と違います 

 


いかがでしたか。

 

「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」でお伝えしたことで解けることが分かったと思います。

現代文(評論)でやるべきことはこれらの読み方、解き方をマスターすることです。

そのためには「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」を繰り返し熟読し、あらゆる問題でこれらの方法を試すことです。その繰り返しをしていれば、この読み方が自然となります。そこまでいけば、評論対策は必要なくなるでしょう。

高1、高2の模試では文章の読み方の基本が問われていますので、これらの力をつけるにはもってこいの教材です(今回の模試は微妙ですが…)。

 

国語の学力は上げることができますからね!ぜひ武器にしてみてください。

 


今後も他の問題を使ってブログを書こうと思います。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。

 

要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。

 

検討を祈っています。


最後までお読みいただきありがとうございました。

2018年度高2進研模試7月(総合学力テスト)_国語_第1問(評論)_解説

 

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、2018年度高2進研模試7月(総合学力テスト)の国語、第1問の解説です。

 

このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」(記述模試でも記号問題はありますので)をどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

文章の読み方_まとめ - 高校教員の徒然日記

マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記

 

この読み方、解き方を徹底することで模試で点数を取ることができます

ぜひ身につけてみてください。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。ご自分で用意してください。

実際に受験した方は持っていると思います。

受験していない方は学校にある場合がありますので、先生に相談してみてください。
進研模試の過去問は学校に進研模試の集冊版があるはずです)

 

形式段落での説明がメインになりますので、お持ちの問題に形式段落番号を記入してください。1~15までになります。

 

では、始めます。

 


問1 漢字

 

すべて基本的な漢字です。これらが書けなかったとしたら漢字学習をすることをオススメします。

大学受験を考えると漢字検定2級レベルまで完璧にしたら漢字は大丈夫です。

漢字学習をどうやっていいか分からない方は漢字検定をベースに学習をするといいでしょう。

なお、漢字検定は各級で出題される漢字が決まっていますので飛び級はオススメしません。4級、もしくは3級から学習を始めましょう。

 

ちなみに、今回の漢字aは4級、bは3級、cは4級の範囲に該当する漢字です。

 


問2 傍線部の言い換え

 

ポイントは3つです。

 

 

①傍線部の言い換え問題(イコール問題)である。
②形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。
③形式段落のおわりは次の形式段落のはじめに繋がる。


イコール問題です。「世界」の説明を読み取るだけの問題です。

 

イコール問題の基本は次の2つでした。

 

①その語句が主語になっている部分に注目する。
②その語句を修飾している部分に注目する。 

 

今回はこの①でいけます。

 

まずは、傍線部「世界」自体が主語になっていることが分かります。

続く部分に注目すると、「人間の生活や精神を安定させ、また、ある程度の耐久性をもって、個体の生命を超えて存続する」ものだと分かります。

しかし、これでは15字以内には収まりませんから、これと同じような内容の他の部分を探します。

 

傍線部は形式段落のはじめにありますから、この段落で説明がなされるかと思いきや、後半はアレントの引用で終わっています。

よって、「世界」の説明が次の段落に続くのではないかと考えられます。

 

その意識で次の段落を読むと、「世界」が主語の一文で始まっています。やはり、形式段落2で「世界」の説明がなされそうです。

 

形式段落の作りは「この話するよ→説明→この話のまとめ」ですね。

 

つまり、形式段落2の終わりで「世界」をまとめてくれるはずです

 

そう考えて読んでみると「耐久性をもったモノの体系」とありますよ。
15字以内であること、はじめに確認した形式段落1の内容(字数が超過して答えとできなかった)と同じである(「耐久性をもっている」って同じですね)ことから、ここが答えと分かります。


この問題は非常に大切です。

言い換え問題の基本(主語に注目!)と形式段落の読み方の基本(この話するよ→説明→この話のまとめ)との両方の読み方を必要としているからです。文章の読み方をマスターするには、もってこいの問題です。

 


問3 内容説明

 

ポイントは2つです。

 

 

①傍線部の言い換え問題(イコール問題)である。
②形式段落のおわりの部分にある。
 →この段落で説明がされている、もしくは、次の段落に説明が続いているはずである。 


これまたイコール問題です。「財産」の説明を読み取るだけの問題です。

 

まずは、傍線部「財産」自体が主語になっていることが分かります。

続く部分に注目すると、「有形のものも無形のものもある」のが「財産」だと分かります。では、この「有形のものと無形のもの」って何でしょうか。

 

傍線部は形式段落3の終わりにあります。この段落の中程で説明がされていると考えられますね。「家」と「国」を例に具体的に説明してくれてますよ。

 

家…土地や住居(有形)と家族の交わり・先祖の記憶(無形)
国…国土や国境(有形、国境が有形かは置いておきます)と国民の交わりや先人からの文化、価値、記憶(無形)

 

つまり、先祖や先人からの形がある(物質的)ものと、形がない(精神的)ものだと読み取れます。

 

問2と同じく、この問題も非常に大切です。

言い換え問題の基本(主語に注目!)と形式段落の読み方の基本(この話するよ→説明→この話のまとめ)との両方の読み方を必要としているからです(問2は傍線部がはじめにあるパターン、今回は終わりにあるパターン)。文章の読み方をマスターするには、もってこいの問題です。

 


問4 内容説明

 

ポイントは3つです。

 

 

①「どのようなことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②形式段落のおわりの部分にある。
 →この段落で説明がされている、もしくは、次の段落に説明が続いているはずである。 


「労働」とは何かが問われています。

 

傍線部は形式段落の終わりにあるので、この形式段落で説明がされていたはずです

中程(33行目下)に「労働」が主語になっている部分があります。ここが答えとなりそうです。

「人間の生を維持するためにモノを生み出す目的を持っていたが、モノは消滅するのでその本来の目的が見えなくなった」もののようです。

 

この部分を使って「労働」の言い換えだということを意識して解答の文末を決めます

「労働」ですから「モノを生み出す」を文末にしたいですね。言い換えるとこうなります。

 

「人間の生を維持するという本来の目的がなくなり、消滅するモノを生み出すこと。」(37字)

 

これで答えとしては十分ですが、できればもう一歩いってもらいたいことがあります。

それは「労働」の言い換えなのだから、「労働」が主語になっているところに注目できるかという点です。

 

先ほどの答えも「労働」が主語の部分を使いました。

が、この傍線部に来るまでに「労働」や「消費」についてずっと説明が続いてきたことに気づいているはずです。だとすれば、他の箇所にも「労働」の説明があるのではないかと思ってほしいということです。

なぜなら、その文章でのキーワードが出てきたら筆者はすぐに説明してくれるものだからです(その方が読みやすい文章になりますよね?)。

 

このような意識で「労働」が出てきた形式段落5まで戻ります。

やっぱり「労働」の説明がありますね。17行目下です。

 

消費財を作り出すための活動が『労働』なのだ」

 

「は」「が」がイコールを表す助詞だと分かっていれば「労働=消費財を作り出すための活動」だと分かります。

この部分、はじめに作った答えの後半の「モノを生み出すこと」のイコールになっています。そして、こちらの方がより具体的な説明になっていますので、こちらを使いましょう。

 

「人間の生を維持するという本来の目的がなくなり消滅する消費財を作り出すための活動。」(40字)

 


問5 内容理解

 

 

①傍線部の内容をあらわす例を答える問題(イコール問題)である。
 →傍線部を具体例に言い換えるということである。
②形式段落のおわりの部分にある。
 →この段落で説明がされている、もしくは、次の段落に説明が続いているはずである。 


傍線部は形式段落の終わりにあるので、この形式段落で説明がされていたはずです

 

形式段落13の内容を読み取ればいいだけです。

自分の個性、趣味でやったことが、「世界」の美的性格や完結性、モノの適宜性へと気遣い、奉仕している、です。

もっと簡単に言えば「自分が好きでやっていることが世界のためにもなっている」です。

このようなことの具体例になっているものを選択肢から選びます。

 

 

1 「知名度を高めるために」ではなく、あくまで自分が好きでやったことが世界のためにならなければいけません。
2 自分が好きでやったことになっていません。
3 自分がすきでやったことになっていません。
4 自分が好きに植えた花樹が、他の人のためになっています。これが正解。 

 


問6 筆者の主張

 

ポイントは1つです。

 

 

①具体例の前後にはその具体例のまとめ(主張)がある。 

 

形式段落14は具体例が並んでいます(設問でも「ここから続く例」と書いてくれています)。

具体例は筆者の主張を分かりやすく説明してくれている箇所でした。

そして、具体例の前後に筆者の言いたいことがあるのでした

 

では、今回の問題で確認してみましょう。

 

形式段落14の前の内容は問5で確認した「自分が好きでやっていることが世界のためにもなっている」です。

これの説明が傍線部の例だとすると、ちょっとよく分かりませんね。

 

では、形式段落14の後の内容を見てみます。形式段落15のはじめです。

「こうしたことは、この『世界』に関与する人間の精神と無関係ではなかろう。モノの配置や体系は、人の精神の反映である」となっています。

「こうしたこと」は当然、形式段落14の具体例のことです。

さらに「モノの配置や体系」というのは傍線部「美観をもった街もあれば、そうでない街もある」の話と繋がりそうです(配置や体系によって、美しかったり美しくなかったりするのでしょうから)。

 

だとすると、傍線部の例によって筆者が言いたいことは形式段落15ですね。

形式段落の作りは「この話するよ→説明→まとめ」です

先ほどの「こうしたことは、この『世界』に関与する人間の精神と無関係ではなかろう。モノの配置や体系は、人の精神の反映である」の話の説明がこの形式段落でされています。

まとめは終わりにある「有意味性」でしょう。この言葉ではよく分かりませんから形式段落の中程の説明を読みます。

「人間にとって何らかの意味をもっている」ですね。

 

これらをまとめると答えになります。

 

モノの配置や体系は「世界」に関与する人の精神の反映であり、それは人間にとって何らかの意味をもっているということ。(56字)

 


いかがでしたか。

「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」でお伝えしたことで解けることが分かったと思います。

現代文(評論)でやるべきことはこれらの読み方、解き方をマスターすることです。

そのためには「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」を繰り返し熟読し、あらゆる問題でこれらの方法を試すことです。その繰り返しをしていれば、この読み方が自然となります。そこまでいけば、評論対策は必要なくなるでしょう。

高1、高2の模試では文章の読み方の基本が問われています(今回の解説で分かりましたよね?)ので、これらの力をつけるにはもってこいの教材です。復習をして読み方をマスターしてみてください。

国語の学力は上げることができますからね!ぜひ武器にしてみてください。

 


今後も他の問題を使ってブログを書こうと思います。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。

 

要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。

 

検討を祈っています。


最後までお読みいただきありがとうございました。

2018年度総合学力記述模試(7月進研記述模試)_国語_第1問(評論)_解説

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、2018年度7月進研記述模試(総合学力記述模試)の国語、第1問の解説です。

 

このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」(記述模試でも記号問題はありますので)をどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。

まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

文章の読み方_まとめ - 高校教員の徒然日記

マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記

 

この読み方、解き方を徹底することで記述模試で点数を取ることができます

ぜひ身につけてみてください。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。ご自分で用意してください。

実際に受験した方は持っていると思います。

受験していない方は学校にある場合がありますので、先生に相談してみてください。
進研模試の過去問は学校に進研模試の集冊版があるはずです)

 

形式段落での説明がメインになります。今回はすでに1~17まで振られています。

 

 

では、始めます。

 


問1 漢字

 

すべて基本的な漢字です。これらが書けなかったとしたら漢字学習をすることをオススメします。

漢字検定2級レベルまでは完璧にしたい所ですが、時期が時期ですのでせめて準2級レベルまでは夏までに仕上げましょう。

ちなみに、今回は準2級までの漢字しか出題されていません。

 


問2 内容説明

 

ポイントは2つです。

 

 

①「どのようなことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
 →傍線部の言い換えるべき語句(「大地」「地球」)に注目する。
②形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。 

 

イコール問題だと分かれば「大地」と「地球」を言い換えてあげればいいのだということが分かります。そして、この2つについてはすでに述べられています。

 

「大地」については形式段落2で述べられています。

形式段落のはじめが「『大地』とは」で始まっているのですから、この形式段落が「大地」の説明だと分かります。また、「大地」が主語になっているのですから、その続きが「大地」の説明部分(言い換え部分)です。

形式段落の作りは「この話するよ→説明→この話のまとめ」でした

つまり「大地=世界の下方に位置し、人間が拘束される場所であり、世界の上方にある神々の座となる『天空』と対をなすもの」です。

 

「地球」については形式段落1と3で述べられています。

形式段落1では「地球=自然に属する一個の存在者」としか分かりませんので、形式段落3を見ます。

形式段落3も「地球は」で始まっているのですから、この形式段落も「地球」の説明です。また、「地球」が主語になっているのですから、その続きが「地球」の説明部分です。

ここでも形式段落の作りを意識します

つまり、「地球=宇宙に属する」であり、その次の一文が「宇宙」の説明なので「地球=宇宙に属する=ありとあらゆるものが断片として無差別に属する(太陽は太陽だし、地球は地球)

 

この2つを確認して選択肢の文末を見るだけで答えは出ます。

 

今回の場合は、選択肢の文末に来ているはず(選択肢は傍線部の言い換えだとすれば、後半に『地球』の説明が来ているはず)の「地球」だけ確認すれば答えは導けます

 

選択肢を見てみましょう。

 

 

1「物理的法則によってすべてのことが説明可能な天体」→確認したものと違います。
2「ありとあらゆるものが差別なく存在する宇宙の構成要素の一つ」→OKです。
3「全体として調和的秩序が存在している場所」→確認したものと違います。ちなみにこれは形式段落2の最後にある「世界」の説明です。
4「人間の手によって改変可能な宇宙の構成要素の一つ」→確認したものと違います。
5「地殻プレートの変動によって恐ろしい天変地異が起きる場所」→確認したものと違います。 


なお、前半の「大地」で選択肢を見てみると答えは1つに絞ることはできないかもしれません。やはり、選択肢は後半から見るようにしましょう


答えは出ましたが、ポイント②「形式段落のはじめにある」は今回どのように使うかを説明しておきます。

 

この形式段落で傍線部を説明しているはずだという意識で読み、最後の「近代的自然観が台頭してきた」に注目します(形式段落の作りを意識)。

つまり、傍線部の「近代という時代」は「近代的自然観」なわけです。すると、これを説明していたのは形式段落4だと分かります。

形式段落4の最後は「近代的自然概念」とあるので、ここで説明されていると判断できるからです(これまた形式段落の作りを意識)。形式段落4の中程に「近代の唯物論的自然科学」という言葉があるので、これが傍線部の「近代という時代」の言い換えとなるわけです。答えの選択肢にこの言葉が出てくるのは、これが理由です。

 


「文章の読み方」を意識すると、ほとんどの問題は傍線部の近くに答えの根拠があることが分かります。しかし、この問題は傍線部の近くに答えがないパターンでした

このパターンはたびたび見かけますので構造を確認しておきます。

 

次のような文章構造、傍線部の位置になっている場合に、今回のように答えの根拠が離れた箇所になります。

 

 

形式段落1~5 Aの説明 
形式段落6~8 Bの説明
形式段落9   まとめとして「AとBは…」という文章になっていて、「AとBは」の「A」の部分に傍線部が引かれている。 

 

「A」の説明はすでに終わっているので、Aに関する問題は形式段落1~5の部分を読んで答えることになります。

今回はまさにこの構造となっていて、AもBも読み取るような問題だったと言えます。

「近代」も読み取ると考えると、Bの説明のあとにCまであったということです。

 


問3 理由説明

 

ポイントは3つです。

 

 

①「なぜか」という理由説明問題である。
②形式段落のおわりの部分にある。
 →この段落で説明がされている、もしくは、次の段落に説明が続いているはずである。
③設問にある「皮肉」のニュアンスを反映する。 


なぜ地球人が宇宙人なのかが問われています。

 

ここまでの内容にはその理由が述べられていないことは明らかなので(「宇宙人」という言葉がはじめて出てきたのですから!)次の形式段落に説明があると考えます。

 

そのような意識で形式段落8のはじめの一文を読むと「この新種のエイリアンたち」という表現に気づくはずです。もちろんこれが「宇宙人」です。

そして、この段落では「エイリアンたちが地上で何をしているか」が述べられています。中程に説明が長々とありますが形式段落のまとめである最後を見ると「世界破壊活動」をしていると分かります。

 

つまり、「世界を破壊する活動をしているから」宇宙人だと述べたわけです。

 

これが解答の文末になります。記述の問題もまずは一言で答えてみることが重要です。


次に、設問にある「皮肉」のニュアンスを加えます

「皮肉」とは学研『現代新国語辞典』に「相手の欠点・弱点などを、遠まわしに意地悪く非難すること」とあります。

もっと分かりやすくいうと「本当は『ダメ』なのに『素晴らしい』と言うことで逆に悪口になること」です。

 

たとえば、背が低いことをコンプレックスにしている人に向かって「バスケやバレーの選手みたいだね」と言ったり、自分が不細工だと思っている人に向かって「ジャニーズからオファー来るに違いないね」と言ったりすることです。

 

先ほど導いた解答の文末は「皮肉」の「素晴らしい」の方に当たるので(答えの後半なのですから)、考えるべきは「ダメ」のほうです。つまり、本当はマイナスなことがあるのに破壊活動をしているから皮肉めいた言い方をしているわけです。

 

この意識で読み進めると、形式段落10が「人類は宇宙人になりきれない」と始まっています。ここにマイナスのことが述べられていそうですね。

この形式段落の終わりには「ヒトは宇宙空間に生きられない、世界内存在で大地の住人であることを克服できない」とあります。宇宙空間に生きられないのに宇宙人ぶっているわけです。

 

「皮肉」のニュアンスでまとめてみると「本当は宇宙では生きられないのに、宇宙人ぶって世界を破壊する活動をしているから」となります。

 


問4 理由説明

 

ポイントは3つです。

 

 

①「なぜか」という理由説明問題である。
②形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。
③「そればかりではない」という言葉に注目する。 


「物」を「守るべき」理由が問われています。

 

答え方としては「物」がどのようなものであるかを説明すればいいでしょう。

たとえば、「子ども」を「守るべき」理由を答えるとしたら「子どもは弱い存在であり、人類を存続させる大切な存在であるから」などとなります。まずは、このように解答のフレームを作ることが大切です(今回であれば「物」を主語にしようというような)

 

今回は「物」を主語にして答えてみます。

 

傍線部は形式段落のはじめにあるので、この形式段落で説明がされていくはずです。

(しつこいですが形式段落の作りを意識して読みます

形式段落の中程に「物たちによって世界は守られ、その世界のおかげで人間の生活は守られる」とあります。

「物」を主語にすると「物が世界を守り、その世界が人間の生活を守っている」となります。「物」が「人間の生活」を守っているのですから、その「物」を「守るべき」理由になりますね。これが1つめの要素です。

 

これで解答が作ることができる問題が多いのですが、今回はこれだけではダメです。

なぜなら、次の形式段落14のはじめが「そればかりではない」と始まっているからです。この「それ」の指す内容は先ほど確認した内容です。

つまり、「物」は「人間の生活を守っている」だけではないということです。だとすると、形式段落14でも「物」の説明が続くことになります。「そればかりではない」と始まっているのですから、この形式段落でその説明がされていくはずです。

形式段落の作りですよ

 

そのような意識で形式段落14を読むと、中程に「物は個体の生命を優に超えて存続する」「物たちは、既在の人々が伝えようとしたものを、今日の我々に守り伝え、将来の人びとへ伝えてゆく」とあります。

つまり、「物」は「人びとが伝えようとしたことを過去から現在、未来へと伝えてゆくことができる」ことができるということです。これも「物」を「守るべき」理由になります。これが2つめの要素です。

 

この2つの要素をまとめると答えになります。

 


問5 内容説明

 

ポイントは2つです。

 

 

①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
 →傍線部を言い換えるということである。
②本文のおわりにある(しかも、形式段落は傍線部のみ)。
 →前の段落から内容が続いてきているはずである。
③設問に「本文全体を踏まえて」という条件がある。 


傍線部の言い換え問題なので、どこを言い換えるべきかを考えます。

 

前半の「伝えていくべき物を労わる」はあまり言い換えることができませんね。せいぜい「伝えていくべき物を大切にする」くらいです。

後半の「世界への愛のレッスン」はどうでしょうか。「世界への愛」は説明の必要がありそうです。「レッスン」は「練習」とできますね(簡単な英語だから大丈夫ですよね?)

ここまでで「伝えていくべき物を大切にすることが、世界への愛の練習だということ」となります。

 

次にポイント②です。

 

形式段落17(傍線部)にどのように内容が続いてきたかを確認します。形式段落16の終わりには「町を愛する」という表現、中程には「町を受け継ぎ、大切に守り、後代に受け渡していく」という内容があります。「世界への愛」の説明のようではないですか?形式段落16のはじめは「世界が壊れる」なんていう表現で始まっているから、やはり「世界への愛」の説明のようです。

さらにさかのぼり形式段落15を見ていると、終わりが「物への労わりは、世界への愛に通じ、しかもそれが同時に、われわれ自身を愛することへと通ずる」となっています。

先ほど確認した「伝えていくべき物を大切にすることが、世界への愛の練習だということ」とほぼ同じ表現だと気づきますか。ここをそのまま使い、さらにこの「世界への愛」が形式段落16の内容のようです。

 

ここまでをまとめると、「伝えていくべき物を大切にすることが、町を受け継ぎ、大切に守り、後代に受け渡していくという世界への愛に通じ、同時に、われわれ自身を愛することの練習に通じるということ」となりそうです。

町=世界でしょうから「伝えていくべき物を大切にすることが、世界を受け継ぎ、大切に守り、後代に受け渡していくことになり、われわれ自身をも愛することの練習になるということ」とまとめることができます。

 

これが傍線部の言い換えとなります。


これに「本文全体を踏まえて」という点を加えます

 

このような問題に対する考え方がこれです

 

 

①まずメインとなる答えを作る。
②その答えに、内容説明、理由説明、対比、条件のいずれかを加える。 

 

以上です。

これだけではよく分かりませんね。もう少し説明します。

 

メインとなる答えというのは、これまで通りの形式段落の作りから内容を読み取ったり、指示語の内容を示したり、設問条件のニュアンスを出したり(問3の「皮肉」のように)した答えのことで、まず一言で答えたものです。ここまでは、これまでの解答の作り方でいけるはずです。

 

次に、その答えに制限字数に合わせて内容を肉付けしていきます。その肉付けする内容が「内容説明、理由説明、対比、条件」のいずれかになります。

 

 

内容説明…先ほどの「世界への愛」のように、わかりにくい言葉を言い換えたり、その言葉に修飾部分(説明する文)を加える。

理由説明…メインの答えに対する理由を加える。

対比…メインの答えの内容と対比されている内容を加える。

条件…メインの答えの内容に前提となる条件があるなら加える。 

 

たとえば、こんな感じです。

 

メインの答えが「スマホを買ってもらったということ」だとします。

 

内容説明を加えると「新しい機能がたくさんついたスマホを買ってもらったということ」

 

理由説明を加えると「母との約束通りテストで満点を取ったのでスマホを買ってもらったということ」

 

対比を加えると「それまで使っていたガラケーではなくスマホを買ってもらったということ」

 

前提となる条件を加えると「中学3年生のとき、スマホを買ってもらったということ」

 

すべて合わせると「中学3年生のとき、母との約束通りテストで満点を取ったので新しい機能がたくさんついたスマホを買ってもらったということ」となります。

 

字数が多いときの考え方はすべてこれになります。

メインの答えを作る。

それに上の4つを加えていく。

4つのどれを加えるかは問題と字数によります。設問や本文内容から優先順位の高いものから加えていき、制限字数になったらそこまでとします。

 

4つめの「前提となる条件」が少しわかりにくいかもしれませんので具体例で補足します。
「近代において」「産業革命が起きた際」「欧米の社会では」などのように年代や場所などが限定される場合に加えます。いまいち分からないかもしれませんが、このことを知ってから模試や問題集の解答を見ると「あぁ、これか」ということがあるかと思います。

 


では、今回の問題に戻りましょう。

 

メインとなる答えは「伝えていくべき物を大切にすることが、世界を受け継ぎ、大切に守り、後代に受け渡していくことになり、われわれ自身をも愛することの練習になるということ」でした。


これに何を加えればいいかを考えます。

 

内容説明はすでに終えています。

 

理由説明はどうでしょうか。なぜ「物を大切にし世界を受け渡していこう」ということを述べているかというと、人類が「宇宙人」となり世界破壊活動をしているからです(前半の内容)。また、問3の内容から人類は宇宙では生きていけないのだから「世界を大切にしなければいけない」と読み取ることができます。今回はこの内容を足すことになります。

 

対比は理由説明と同じ内容になりますが「人類は物や世界を大切にするべき、自身を愛するべき」と「人類は世界を破壊している」が書けそうです。

 

前提となる条件は今回は必要なさそうです。時代の対比や場所の対比の文章ではありませんからね。

 

以上をまとめて「人類は宇宙では生きていけないので世界を破壊する活動をするのではなく、伝えていくべき物を大切にすることが世界を受け継ぎ後代に受け渡していくことになり、われわれ自身をも愛することの練習になるということ」となります。

 

模試の解答はこれをさらに言い換えて格好良くなっていますので、言い換える練習としてぜひ見てみてください。

ただ、模試の解答は本当に上手な文になっていますので、それを書けなくても仕方ありません(書けるに越したことはありませんが)。

 

大事なのは考え方のプロセスです。どのように読み、どのように答えを作るのかをしっかりと身につけましょう

ですから、はじめは本文の言葉を使った解答でいいのです。そのレベルがある程度まで達したら上手な文章表現を試みてください。

 


問6 文章表現

 

文章表現問題は1つ1つ確認していくしかありませんので対策できません。

 

ただ、あくまで消去法でいくようにしましょう。微妙なのは残して、絶対に違うと分かったものから消去していきます。そして、残ったものを答えとするのです。

 

自分でそれぞれの選択肢の何が間違っているのかを考えてから、解答でどの部分が間違っているのかを確認しましょう。

 

 


いかがでしたか。

 

問5で記述問題の答えの作り方の説明があったため、かなり長くなってしまいました。

 

しかし、センター試験も記述試験もやるべきことは大きく変わらないということが分かったと思います。記述問題は「書く力」が要求されますが、書く内容を考える段階ではマーク式と同じなのです(今回であれば問5のメインの答えを考えるまでは同じです)。

ぜひ「文章の読み方」を意識して文章を読んでみましょう。現代文の問題を解いてみましょう。

国語の学力は上がりますセンター試験でも個別入試でも武器にできるのです。

 


今後も他の問題を使ってブログを書こうと思います。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。

 

要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。

検討を祈っています。

 


最後までお読みいただきありがとうございました。

模試を受ける意味(高1、高2)

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 


今回は高校1年生や高校2年生が模試を受ける意味について書きます。
(それ以外の学年でも参考になる部分もあると思います)

 

また、私が教師として模試をどのように扱っているのかということにも触れていきます。


通っている学校や塾によって受験する模擬試験は異なりますが、どの模試を受けたとしても共通する意味があります。

この意味を考えずに「受験することが決まっているから受験する」ではお金も時間も無駄になってしまいます。期限のある大学受験(誰だって浪人するために頑張っているわけではないでしょうから)に挑むために模試を受験するわけですから、少しでも有意義なものにしたほうがいいに決まっています。

 


私が考える「模試の意味」とは次の4つです。

 

 

①学習の指針となる
②学習に対するモチベーションを高める
③自分の絶対的学力を知る
④受験本番の雰囲気に慣れる


「教師」として重要視している流れが「学習の指針」として「学習へのモチベーションを高める」ことなのですが、それぞれの説明と合わせて見ていきます。

 


①学習の指針となる

 

高校1年生、2年生の模擬試験では段階を追って範囲が増えていきます。

言い方を換えると、それぞれの模試で求められる「学習の段階」がある程度定まっているということです。

 

国語でこのことを見てみましょう。

分かりやすいのが古典文法などの知識の問題です。

進研模試の古典文法の問題を例にします。

 

高1の7月…動詞の活用
高1の11月…用言の活用、基本的な助動詞の意味と活用
高1の1月…基本的な助動詞(識別に絡むものが中心)
高2の7月…識別と意味の訳し分け
高2の11月…識別と意味の訳し分け、敬語
高2の1月…識別と意味の訳し分け、助詞の用法 

このように求められる段階が明らかに違います。

 

そして、これらの模試で求められる内容は大学受験で必要とされるほぼすべての学習内容を網羅しています。つまり、2年生の模試までの内容を完璧にしていけば大学受験対策は自然と完了しているということです。3年生の模試で問われることはこれらの繰り返しに過ぎません。

 

国語に限らず数学や英語でも同じです(地歴公民や理科は2年生の秋から模試が始まるので違います)。

 

それぞれの模試で問われることを確実に「もの」にすることで、大学受験で求められる力を自然とつけることができます

 

段階など気にせずに参考書や問題集を完璧に仕上げれば問題ありませんが、せっかく受験する模試なのですから「段階」を意識して臨むと有意義になります。

 

模擬試験を学習指針とすることで「スモールステップ学習」が可能だということです。

 

実は、一般の高校の授業はこれが意識された授業内容になっていることが多いのですよ(先取り学習をしている中高一貫校は違います)。

 

古典文法の模試の出題に関しての記事はこちらです。

kinkoshin.hatenablog.com

 


②学習に対するモチベーションを高める

 

「モチベーション」を高める方法はさまざまあります。

「くやしい」というマイナスの感情をモチベーションにすることもできますが、それよりは「楽しい」というようなプラスの感情をモチベーションにできることに越したことはありません

 

模擬試験で良い成績を取れば誰でも嬉しい気持ちになります。しかも模試をただ受験しての結果ではなく、模試に向けて努力をした結果としての好成績であれば喜びは倍増します。

 

そして、その喜びが「また勉強してやるか」という気持ちを起こさせます

 

このブログを読んでそのメカニズムを知ったとしても、それがなくなることはありません。「からくり」が分かったとしても嬉しいものは嬉しいし、やる気が出るものはやる気が出るのです。

 

そういう意味では人間って単純なんです。

その単純さを人生をプラスにする手段として使わない手はありません。

 


私が指導するときに重要視している流れがこれです。

 

模試に向けた学習をさせる→模試で得点できる→学習に対するモチベーションが高まる 


このサイクルが出来上がれば、確実に学力は上がっていきます。

私の「模試」の使い方はこれがすべてだと言っても過言ではありません。

 

模試を受験する意味には、学習へのモチベーションを高めるということが言えるのです。

 


③自分の絶対的学力を知る

 

模試は全国の高校生が受験しています。全高校生ではありませんが、大学受験を考えている多くの人が受験しているには違いありません。

 

模試では受験者の中で自分がどのような位置にいるのかということも把握できます。
それが偏差値です。偏差値を上げるということは自分の相対的な学力を上げるということです。

 

しかし、大学受験で大事なのは相対的な学力ではなく合格に必要とされる程度の学力が身についているかどうかです

ですから、模試でも偏差値や全国順位ではなく「点数」や「できた問題」「できなかった問題」にこだわるべきです。

 

これらを確認することで「自分の学力」を知るのです。

 

特に「できた問題」と「できなかった問題」を確認することは、これから自分がどのように学習していくのかを考える好材料となります

自分はどこまでできて、どこからできないのか。それを明らかにすることで参考書や問題集の扱い方が変わります。

 

このように考えると、模試は「受けること」よりも「受けた後にやること」が重要になります。

 

自分の絶対的学力を知り次に活かす

これが模試受験の意義の「王道」かもしれません。

 


④受験本番の雰囲気に慣れる

 

「見直しをしたら簡単な問題だった」「なんで間違ったのか意味が分からない」

 

こんな経験に心当たりがある人は多いのではないでしょうか。

 

授業や自学自習の時には絶対にできるレベルの問題なのに、模試では何故かミスをしてしまったり、ど忘れしてしまったりする。

 

その大きな理由が「模試のプレッシャー」、言い換えると「やり直しが利かない場面でのプレッシャー」に負けているということです。

 

この解決方法は1つです。

 

それは「自分に自信を持つこと」です。自分は絶対に大丈夫という絶対的な自信を持つことでプレッシャーをはねのけることができます。では、自信を持つためにはどうすればいいのでしょうか。その方法は2つ考えられます。

 

1つは「とにかく勉強する」とういうことです。とにかく勉強して多くの問題が解けるようになると自然と自信が身につきます(当たり前のことかもしれませんね)。

勉強に限らず部活動でも芸術活動でも人間関係でも何でも同じです。とにかくその対象となることでレベルアップすることで自信を持つことができます。

 

もう1つは経験を積み重ねることです。プレッシャーを感じる場面を数多く経験する。このことによっても自然と自信のようなものが身につきます。

これも勉強だけに限りませんね。人間、結局は経験がすべてのようなところがあります。経験値を上げることによって、ある意味「慣れる」わけです

 

模試を受験する意味には「やり直しの利かない場面でのプレッシャーを受けるという経験を積み重ねることで自信をつける」ことが挙げられます。

 

ただし、単に受験するのではなく「模試はやり直しが利かない重要なものだ」という意識を強く持って受験することが必要になります。

そして、そのためにはやはり「模試に向けた学習をして模試で髙得点を取ろう」という姿勢で受験日まで過ごす必要がありそうです

 


以上が「高1、高2での模試受験の意味」です。

 


いかがでしたでしょうか。少しでも皆さんのお役に立てたなら幸いです。

 

今回のブログで模試が学習の指針となることを書きました。今後、このブログで進研模試全統模試を例に各模試で求められる段階やその対策をお伝えしようと思います。ぜひ参考にしてみてください。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

勉強する意味を西村博之(ひろゆき)氏の言葉から考える

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

このブログを見てくれている方は大学受験に向けて頑張っている受験生か、何事かに挑戦し頑張っている方だと思います。

 

そこで今回は私が生徒たちに話している「勉強する意味」を書こうと思います。

受験生でない方も「大学受験や高校生活」をご自身の「何か」に当てはめて読むことができると思いますので、ぜひ最後までおつきあいください。

 

 

大学受験のための勉強をすることで、スキルを得るためのスキルを磨いている 

 

2ちゃんねるの開設者である西村博之ひろゆき)氏の言葉です。


私たちは生きていくために、その場に応じたスキルを身につけなければいけません

医師であれば膨大な知識と精緻な技術、コミュニケーション力などは必須です。

そして、それらのスキルを身につける際に最も必要な力は、それらを上手に身につけることのできる力だと言えます。つまり「スキルを得るためのスキル」が重要だということです

 

ただ、その力を身につける場は大学受験でなくてもいいはずです。

すでに人生をかけて取り組みたいことがあるならば、それを追求することで「スキルを得るためのスキル」だけではなく本当に自分がやりたいこともできます。

しかし、高校生の段階で「何が何でもやりたい」ってものを持っている人は多くないという現実もあります。というか、大人ですら持っていない人の方が圧倒的に多いような気がします。

 

だから、大学受験という強制力が働く場で「勉強」する意義があります

 

大学受験という場を通して「スキルを得るためのスキル」を磨くのです。大学受験で覚えた知識は一生必要ないかもしれません。でも、無意味とも思えるようなことを自分なりに工夫し身につけるという過程こそが将来何かを成功させるときの力となってくれます。

やりたいことを見つけたとき、やりたいことができる場面になったとき、それらを素早く楽しく実行に移すことのできる力を向上させているというのが勉強する意味です

 

本当の勉強というのは自らの頭で考え、それを行動に移し、その方法でいいのかを検証し、さらに考え…というサイクルで回ります。

頭で考えるだけではダメです。行動し「形」にすることが重要です。多くの場合、そうしなければ検証のしようがないからです。そして、実際に行動してみると(形にしてみると)、頭では上手くいっていたのに上手くいかないことのほうが圧倒的に多いことに気づきます。

その気づきから、私たちの成長は始まります。どうすれば上手くいくのかを真剣に考えることになります。この繰り返しが私たちをレベルアップさせてくれます。

 

とすると、高校生活にある国語や数学といった座学も、部活動も、学校祭や見学旅行などの学校行事も、すべて「スキルを得るためのスキル」を磨く勉強の場と言えるでしょう。せっかく高校生活を送っているのですから、そのすべてを自らの成長の糧にすることが人生の幸せに繋がっていくことは明白です。

 

なかでも大学受験は目標も手段も明確です。正しい方法で行動すれば必ず良い結果に結びつきます。その経験が大きな自信に繋がったり、その方法を勉強以外に応用したりすることが可能になります。

 

ここで得たスキルは将来の本当に必要とするスキルの獲得に役立つことは間違いありません。だから、大学受験に向かって一所懸命に勉強することは無意味ではありません。単に学歴を得るということ以上に大きな意味を持っているのです。


はじめに書いたとおり、この話は大学受験や高校生活だけのことではないはずです。

今、目の前にある自分がやるべきことにも通じます。
目の前にあることに一所懸命になる。

それは、そのことを成功させるということだけに留まらず、スキルを得るためのスキルを得ていることにもなります

 

今やっていることが自分の「本当にやりたいこと」かもしれません。でも、それは現段階におけるものです。この先、もっと「やりたいこと」が出てくるはずです。そう考えると、今の頑張りは「スキルを得るためのスキルを得ていること」になります。


私たちが勉強する意味、努力する意味というのは、未来の自分に対する最大の贈り物であることだと言えます

そして、豊かな人生というのはその繰り返しのような気がします。

成長し続ける自分、やれることが増え続ける自分、何にでも飛び込むことができる自分…これらの自分のレベルをより高めていくことが人生であり、幸せな人生に繋がっているのではないでしょうか。


このように考えると目の前にある課題に取り組んでいこうと思えませんか。

一緒に勉強して、お互いに豊かな人生、幸せな人生を送りましょう。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

2018年度総合学力マーク模試(6月進研マーク模試)_国語_第1問(評論)_解説

こんにちは。北の大地で教員をしています「きんこ」と言います。

今日は私のブログを見てもらい、ありがとうございます。

 

今回は、2018年度総合学力マーク模試(6月進研マーク模試)の国語、第1問の解説です。

 

このブログにある「文章の読み方」や「マーク式問題の解き方」をどのように運用するのかに重点を置いています。

そのため、「文章の読み方」「マーク式問題の解き方」をお読みいただいていることを前提に説明をしていきます。まだご覧になっていない方は以下のリンクからご覧ください。

文章の読み方_まとめ - 高校教員の徒然日記

マーク式問題の解き方(センター対策)_評論文 - 高校教員の徒然日記

 

この読み方、解き方を徹底することでセンター試験で8割は超えます

ぜひ身につけてみてください。

 

問題については、著作権の関係上ここに載せることはできません。

ご自分で用意してください。

実際に受験した方は持っていると思います。

受験していない方は学校にある場合がありますので、先生に相談してみてください。

 

形式段落での説明がメインになりますので、お持ちの問題冊子に形式段落番号を記入してください。1~23までになります(1行開きで書かれている引用部分には形式段落の番号は振りませんよ)。

 

 

では、始めます。

 


問1

 

(イ)「普及」の答えである「普請」が言葉としては難しいですが、消去法で導くことは簡単です。その他はできないと困るレベルの漢字ばかりです。

不正解があったのならば対策が必要です。漢字は夏までに終わらせましょう。

目安は漢字検定2級です。せめて準2級レベルまでは何とかしましょう。

 


問2 

 

ポイントは3つです。

 

 

①「なぜか」という理由説明問題である。
②形式段落のおわりの部分にある。
 →この段落では何の説明がされているのかを形式段落のはじめを見て確認する。
③形式段落の繋がりを意識する。
 →形式段落のおわりは、次の形式段落に続いていく。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

形式段落のはじめを確認すると「言語は一般に、設定済みの記号の体系であって、ひとは思考を意味させるように、そこから語や文を構成するとみなされる」です。

ここを読んだときのポイントは「一般に」という言葉です。このような表現が出てきたら、筆者はそのように考えてない場合がほとんどです。つまり、「言語」は「設定済みの記号の体系」ではないし、「ひと」が「思考を意味させるように」「語や文を構成する」のではないというのが筆者の考えなのだろうと予想できるようにしましょう。

 

そのような意識で形式段落の中程を読みます。形式段落の作りは「この話するよ→説明→この話のまとめ」が基本でした


すると、2行目に「しかし」と逆接があるので、やはり筆者は先ほどの考えに反対だと分かります。そして、その内容説明が3、4行目に書かれている「言語はたえず変遷し、どの語や文も例外的な使用がされるから、意味作用の成り立ちが理解できない」です。

そして、傍線部の「発想を変えなくてはいけない」に繋がります。

 

この形式段落をまとめるとこうなります。

 

はじめ(一般にこうだ)→中程(変遷、例外があるから理解できない)→おわり(発想を変えるべきだ)

 

これだけで答えの方向性は見えますね。「言語は変遷し、例外的な使用がされるから」「一般に言われていることの発想を変えるべきだ」となります。

 

これだけで答えを選ぶことができる場合が多いのですが、今回は選択肢を見るとこれだけでは判断がつきにくくなっています。そこで、ポイントの③です。

傍線部が形式段落のおわりにあるということは、この内容は次の形式段落に繋がっていくと考えられます

つまり、先ほどの「中程(変遷、例外があるから理解できない)」という発想を変えるべき理由の詳しい説明がなされるはずなのです。

 

そのような意識で読み進めると、形式段落6、7、8がその説明になっていると分かります。すべて「言語が変遷する」ことの説明です。

形式段落6のおわり「基準は、語られるごとに、たえず作りなおされている」

形式段落7のはじめ「むしろ、こういうべき(指示内容は6のおわり)。言語が存続するのは、ひとびとが語ることで改変し続けるから」

形式段落8のはじめ「言語は、ひとびとが語り続けて存在する」

形式段落8のおわり「言語は解体されては作り直されている、基準からはずれることが『意味している』こと」

 

全部書きましたが、簡単に言うと中程にあった「変遷、例外」とは「言語はひとびとが語ることで変わり続けている」です。だから、「言語」は「設定済みの記号の体系」ではないし、「ひと」が「思考を意味させるように」「語や文を構成する」のではないのです。

 

選択肢を見てみましょう。
選択肢は文末(後半)から見ます。そこが今考えてきた方向と一致しているかを確認します。

 

 

①「言語体系を打ち破る」→「打ち破る」とは書かれていません
②「吸収する」→「吸収する」とは書かれていません
③「真の思考はこのように…」→考えてきた方向とはずれていますが、指示語があるのでその内容を確認する必要があります。直前は考えてきた内容です。これが正解です。
④「言葉の正しさの判断基準」→「判断基準」が理由ではありません
⑤「主体客体の意思疎通で満足」→書かれていません 

 

*ちなみに、本文の一番はじめが「真に思考する言葉とは?」から始まっているので、この文章は「真に思考する言葉」がテーマです。この問の箇所はその説明部分にあたるので、このような答えの書き方になっているのです。形式段落の作り(この話するよ→説明→この話のまとめ)はそのまま文章全体の作りでもあります。

 


問3

 

ポイントは3つです。

 

 

①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②傍線部を含む一文中に指示語がある。
 →直前の内容を確認する。
③形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。 

 

以上を踏まえて考えます。

 

「そうした言葉」とは直前に書かれている「創造的用法」の「言葉」です。「創造的用法」は「それが」という主語を受けているので「それ」の指す内容を確認すると、直前の「規定されている意味を、解放し、新しい見方をもたらす」言葉だと分かります。

 

次に傍線部は形式段落12のはじめにあるので、この段落で傍線部の説明がされるはずだという意識で読みます

 

すると、中程に「言葉のあとで思考は変質し、言葉を語る実践のなかで特別な思考に生まれかわる」とあり、おわりに「言葉が先立っており、人間には言葉抜きの思考は不可能だ」とあります。

これが傍線部の説明なので、容易に答えを導けます。


選択肢を見てみましょう。

選択肢は文末(後半)から見ます。この問題は、正解以外はすべて選択肢文末で間違いだと判断できます。

 

 

①「特殊な意味合いで用いて表現を広げた」→読み取った方向と違います
③「言語体系は定着させられない」→読み取った方向と違います
④「ありのまま相手に伝えるのは難しい」→読み取った方向と違います
⑤「定着するまで時間を要する」→読み取った方向と違います 

 


問4

 

ポイントは3つです。

 

 

①「どういうことか」という内容説明問題(イコール問題)である。
②傍線部を含む一文中に指示語がある。
 →直前の内容を確認する。
③形式段落のはじめの部分にある。
 →この段落で説明がされていくはずである。 

 

以上を踏まえて考えます。


指示語なんてないと思うかもしれませんが、傍線部直前の「とすれば」は「そうだとすれば」の省略なので、指示語があると考えるべきです。

指示内容は直前なので、「それらの組みあわせにおいてしか、『発見する』という意味での思考はない」です。

この文のはじめにも「それがなされるには」と指示語があります。直前の「文を作ってその文の意味を知ることが発見である」が指示内容です。

 

つまり、「文を作って(言葉の組み合わせによって)、意味を発見する」です。これが「思考する」(傍線部)の内容です。

 

これだけでも答えは導けますが、一応もう1つ確認しておきましょう。

 

傍線部は形式段落18のはじめにあるので、このあと説明がされるはずです

中程は「文を作るなかで、自分のいわんとしたこと以上のことをいってしまうことがある」、おわりは「それに気づけるのは、目指していたけど、それが何かはっきりしていなかったから」です。

この内容は先ほど確認した「文を作って(言葉の組み合わせによって)、意味を発見する」と同じです。やはり、これが傍線部のイコールです。


選択肢を見てみましょう。

選択肢は文末(後半)から見ます。この問題は、正解以外はすべて選択肢文末で間違いだと判断できます。

 

 

①「全体を把握し妥当な組みあわせを考える」→読み取った方向と違います
③「正確にとらえられるかが思考の質」→読み取った方向と違います
④「社会的な責任によって思考が生まれる」→読み取った方向と違います
⑤「思考内容と目的を総合的に把握する」→読み取った方向と違います 


問5

 

ポイントは2つです。

 

 

①何について問われているかを確認する。
②問われている内容は本文のテーマである。
③形式段落の作りと文章全体の作りは同じである。 

 

この設問には傍線部がありませんから、何について問われているかを確認します

設問中に「思考について」とありますから、この問は「思考について」問われていると判断します。

 

問われている内容を確認したら、次に本文で「思考」をどのように述べているかを確認します。

 

そのときに知っておいてほしいのが次の考えです。

 

 

このような問で問われる内容は「本文の主題」である。 

 

主題と関係ないことを問うことはほとんどありません。それだと何のために文章を読ませたのか分からなくなるからです。この類いの問題は「きちんと文章を読めていますか」つまり「筆者の主張が読み取れましたか」という設問です。

 

では、この文章の主題(ここでは「思考」)を読み取ります。

ここで大切なのが文章の構成です。
「この話するよ→説明→この話のまとめ」が基本の構成です
これで見てみましょう。

 

形式段落1「真に思考する言葉って何?」→「言葉は変遷し、文を作りその文の意味を知ることが思考だ(ここまでの問いの内容ですね)」→形式段落23「沈黙が思考(中程の内容と同じですね)」

 

「思考」とは「言葉は変遷し、文を作りその文の意味を知ること」だと分かります。

この内容になっている選択肢を選ぶだけです。生徒同士の話なので選択肢の文が読みやすくなっていますが表現を気にしてはいけません。

 

選択肢を見てみましょう。
この問題は選択肢を読みながら突っ込みましょう。

 

 

①「前提となる知識が必要」→書かれていません
 「多角的な見方を身につける」→書かれていません
②「知識を組み合わせる」→組み合わせるのは「知識」でなく「言葉」
③「知識を生きたものにするために哲学者の思考が必要」→書かれていません
⑤「語彙が増えたら見方が広がる」→書かれていません 

 

*ちなみに、この設問での考え方の手順は課題文型小論文と同じです。このブログの小論文の過去問題解説では、その辺りのことも書いていますので必要な方はぜひ見てみてください。

 


問6(ⅰ)

 

表現の問題は、それぞれの選択肢の内容を本文に戻って確認するしかありません。
今回は対策できません。

 

問6(ⅱ)

 

構成・展開を問われた際のポイントは2つです。

 

 

①選択肢の最後と本文の最後が同じ内容になっているか。
②本文を読むときに、大きな流れを意識しているか。 

 

ポイントの②はある程度の国語力がないと難しいかもしれませんが、本文を読みながら(傍線部を頼りにして大段落を意識して)「問題提起」「内容説明」「理由説明」「筆者の主張」のどの内容かを意識できることを目標にしましょう。


今回の文章は問5で確認したように「問題提起、理由説明、筆者の主張」になっています。「思考」と「言語」との関係を述べていることは明白です。

 

 

 

いかがでしたか。

文章の構造、形式段落の読み方、マーク式問題の解き方を使えば、簡単に答えを導くことができます

はじめは慣れないかもしれませんが、繰り返しこの方法で読み解くことで必ず慣れます。そして、一度慣れてしまえば後戻りすることはありません。どんな文章が出てきたとしても8割は得点できるようになっているでしょう。

 

今後も他の問題を使ってブログを書こうと思います。自分で解いてみてブログで確認するという流れで勉強してみてください。

 

要望や質問は「お問い合わせフォーム」から受け付けていますのでご活用ください。

検討を祈っています。

 


最後までお読みいただきありがとうございました。